特発性大腿骨頭壊死症

特発性大腿骨頭壊死症について

特発性大腿骨頭壊死症（Idiopathic osteonecrosis of the femoral head、IONまたはONFH）は、股関節に影響を及ぼす病気です。この疾患は、大腿骨上端の大腿骨頭で虚血が起こり、骨が壊死することで進行し、最終的には関節の変形や破壊を引き起こす可能性があります。特に日本では、厚生労働省によって特定疾患に指定されており、医療費の自己負担部分に対して公的な助成を受けることができます。

症状

初期の症状としては、歩行や階段昇降時に痛みが生じることがあります。病が進行すると、安静時にも持続的な痛みが生じ、鎮痛剤を必要とするケースもあります。このような痛みは、関節の可動域を狭め、足を引きずって歩く跛行の原因となることがあります。骨頭壊死は、大腿骨の荷重部位に多く見られますが、加えて膝、肩、足関節にも影響を及ぼす可能性があり、特にステロイドを使用している方には、多発性の骨壊死が見られることがあります。

原因

この病気の原因は明確ではありませんが、ステロイド剤の全身投与、アルコールの大量摂取、喫煙がリスク因子として知られています。特にステロイドに由来するものは、投与開始から1〜3ヵ月以内にMRI検査での変化が見られることが多いです。また、全身性エリテマトーデスや腎移植の履歴もリスク因子として考えられています。

家族歴の影響もあるとされており、遺伝的な素因がこの疾患の感受性に影響を与えている可能性があります。

診断

特発性大腿骨頭壊死症の診断は、厚生労働省が定めた基準に従い、X線、MRI、骨シンチグラム、病理所見などのデータを総合的に評価して行います。診断時には、腫瘍由来の病変や色素性絨毛結節性滑膜炎、骨端異形成症といった他の疾患も除外する必要があります。さらに、鑑別疾患としては変形性股関節症などがあります。

治療

治療方法には、保存的治療と手術的治療の2つに分類されます。いずれの場合も、病状に応じた方針を立てることが重要です。特に過去にステロイドを使用していた場合には内科的な合併症の評価が欠かせません。

保存的治療

• - 免荷や装具療法による疼痛の緩和
• - 物理療法や高圧酸素療法による痛みを軽減
• - ビスホスホネート製剤の投与、圧潰や痛みの悪化を防ぐ
• - 筋力訓練
• - 鎮痛剤の服用

手術的治療

• - 骨穿孔による減圧術
• - 杉岡式回転骨切り術や人工股関節置換術
• - 血管柄付き骨移植術
• - 再生医療のアプローチ

疫学

日本国内では、この病気はやや男性に多く見られる傾向があり、男女比は1.2～2.1:1とされています。発症する年齢層は主に若年期から壮年期であり、韓国や中国と比較して有病率は低めです。

公表されている著名人

この病気を公表した著名人には、プロ野球選手の西浦颯大や俳優の坂口憲二、歌手の美空ひばりなどがおり、それぞれの経験からこの疾患の認知度が高まっています。

まとめ

特発性大腿骨頭壊死症は、適切な診断と治療が求められる疾患です。痛みの管理や関節の機能を保つためには、早期かつ正確な対応が重要です。

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