犬山検査場茶所検車支区

茶所検車支区

名古屋鉄道（名鉄）が岐阜県岐阜市に設けている車両基地に、茶所検車支区（ちゃじょけんしゃしく）があります。ここは名鉄の車両メンテナンスを担う施設の一つで、現在は犬山検査場の管轄下に置かれています。名鉄名古屋本線の岐南駅と茶所駅の間に位置しており、本線への出入は茶所駅方面で行われています。

概要

この施設は1956年（昭和31年）に業務を開始しました。敷地面積は約4,125平方メートルを有しています。施設内には、一度に8両編成2本を収容できる検査ピットが2線設置されており、日々の車両点検である日常検査を行っています。また、最大で22両の車両を構内に留めておくことが可能です。

組織の再編以前は新川工場の傘下でしたが、現在は犬山検査場の所属となっています。かつては茶所検車区という名称でした。

現在の主要な業務は、名古屋本線や空港線を走る特急列車に使用される車両、具体的には2000系、2200系、1000系、1200系といった系列の列車検査、車体洗浄、内装清掃などです。これらの車両が安全かつ快適に運行できるよう、日々の手入れが行われています。

また、かつて名鉄の象徴であった7000系や7500系といったパノラマカーが多く活躍していた時期には、これらの車両の運用を支える重要な拠点の一つでした。

周辺環境との関連

この車両基地が位置する周辺、特に茶所駅から加納駅を経て名鉄岐阜駅へ至る区間には、半径160mから210mという急な曲線が連続しており、特急列車であっても安全確保のため速度を50km/hから55km/h以下に落とさざるを得ない状況です。

加えて、茶所検車支区への車両の出入りが多く、回送列車が頻繁に通過するため、近隣の中山道（岐阜県道181号岐阜那加線）や主要幹線道路である岐阜県道77号岐阜環状線などに設けられた踏切では、遮断機が長時間降りたままになる『開かずの踏切』問題が発生しており、周辺地域の交通渋滞の一因となっています。

この問題を解消するため、岐阜市などを中心として、境川橋梁から名鉄岐阜駅までの区間を連続的に高架化し、さらに茶所駅と加納駅を一つに統合する大規模な都市計画が構想されています。

ただし、この計画において、茶所検車支区自体は高架化されたり、別の場所へ移転したりするのではなく、新しくできる高架線から勾配を設けた連絡線によって接続される予定です。2016年に公表された計画案に含まれる完成予想図を見ると、名古屋本線の上下線の間に検車支区への引き込み線が配置される様子が描かれています。これは、立体交差化が実現した際に、車両の出入庫や入換作業による本線への影響を可能な限り抑えるような構造へと改められることを示唆しています。これにより、周辺交通への影響軽減と、車両基地の機能維持の両立が図られる見込みです。

茶所検車支区は、名鉄の車両を日常的にケアする重要な施設であり、その機能は将来的な周辺インフラの整備計画にも影響を与え、またその計画の中で新たな接続形態へと変化していくことが見込まれています。

関連項目

* 日本の車両基地一覧

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