独立混成第15連隊

独立混成第15連隊

独立混成第15連隊（どくりつこんせいだいじゅうごれんたい）は、大日本帝国陸軍に所属した連隊の一つです。1944年（昭和19年）6月24日に千葉県佐倉で編成され、近衛歩兵第10連隊を基幹に、関東地方の部隊を集結させて新設されました。連隊は、沖縄戦において激戦を繰り広げ、その勇戦ぶりは今も語り継がれています。

編成と沖縄派遣

編成後、連隊は沖縄への輸送準備のため、7月1日に門司港に集結しました。しかし、独立混成第44旅団が海没したため、急遽空輸に切り替えられ、7月5日から12日にかけて、新田原飛行場から嘉手納北飛行場、読谷山飛行場、伊江飛行場へと順次到着。到着後、連隊は独混44旅団に編合され、第1、第2大隊は中頭地区、第3大隊は伊江島で陣地構築を開始しました。その後、第1、第2大隊は国頭地区の本部半島へ移動し、陣地を構築。第3大隊は、12月4日に伊江島から中頭地区の北谷村へ移動しました。

沖縄戦での戦闘

1945年（昭和20年）1月26日、第1中隊第3小隊が津堅島の砲兵陣地援護のために派遣されました。2月1日には、第9師団が台湾に移駐したことに伴い、連隊は本部半島から知念半島に移動。第3大隊は島尻地区の玉城村へ移動しました。4月1日に沖縄地上戦が開始されると、連隊は旅団主力として、米軍の迂回上陸に備え、知念半島で待機しました。4月15日には、津堅島に派遣されていた山崎小隊が原隊に復帰。4月27日には、第62師団の補強のため、第1大隊が連隊の指揮下を離れ、天久地区に移動しました。翌日、旅団司令部とともに首里防衛線の最西翼である安里地区へと移動。

5月4日、日本軍が攻勢に転じると、連隊は第24師団の前進後の戦果拡張部隊として、首里東方の前進陣地に移動。この間、連隊工兵隊から戦車撃滅隊が編成されました。5月6日、日本軍の攻勢が中止されると、連隊は安里地区の安里52高地（米軍呼称シュガーローフ・ヒル）や真嘉比南高地（米軍呼称ハーフムーン・ヒル）周辺の守備に就きました。第1大隊は旅団予備となり、天久台地区に所在する独立第2大隊が連隊の指揮下に入りました。

シュガーローフの戦い

5月12日から18日にかけて、シュガーローフの戦いが繰り広げられました。5月12日には、独立第2大隊本部が馬乗り攻撃を受け、5月13日には、戦車撃滅隊（連隊工兵中隊）の北村大尉が戦死。旅団からの増援として、海軍伊藤大隊が52高地に配置されました。5月15日夜には、重囲下の独立第2大隊が夜間斬り込みを敢行するも、大隊長以下が全滅。5月16日、52高地を奪取されるも、同夜、野崎大隊長率いる夜襲によって奪還しました。5月18日、戦車撃滅隊の残存兵が真嘉比高地西北方の部落に斬り込み、全滅。5月19日、第1大隊が52高地から後退しました。5月20日、崇元寺町地区で第2大隊が決別電を発し、大隊長以下が斬り込みを敢行、全滅しました。

戦線の縮小と終焉

6月1日、戦線を57.3高地（真嘉比東方）から真嘉比南高地、沖縄師範学校女子部付近に縮小。6月3日、島尻南部新陣地に到着し再編成を実施、新第2大隊長には独立速射砲第7大隊の中島少佐が、特編大隊（伊藤少佐）が第4大隊となり、海軍伊藤大隊が第4大隊の指揮下に入りました。連隊砲中隊と速射砲中隊は砲を失い徒歩隊となりました。6月9日には、シュガーローフの戦いでの功績により、第32軍から独混44旅団に感状が授与されました。6月11日、具志頭地区にて第1大隊が決別電を発信し、大隊長以下が斬り込みを敢行して全滅。6月14日、玻名城地区での戦闘中、第4大隊の伊藤海軍少佐が玻名城91.4高地で戦死。同夜、第2大隊が救援に向かうも、遭遇戦で中島少佐が戦死。6月15日には、伊藤少佐が戦死と推定され、連隊は戦闘能力を失いました。6月16日、与座仲座南方の松林内にある連隊戦闘指揮所が包囲され、6月25日に旅団から持久、遊撃戦への移行を命じられました。6月26日、連隊は解隊となり、生存者は知念半島地区から国頭地区へ脱出し、遊撃戦を継続しました。

歴代連隊長

連隊長の名前は記録されていますが、詳細な情報は参考文献を参照してください。

隷下部隊

連隊には以下の部隊が隷下していました。

第1大隊（野崎直彦大尉）
第2大隊（井上清公大尉）
第3大隊（西村信義少佐・少尉候補者18期）
工兵中隊（北村　公大尉）
連隊砲中隊（杉浦隆考中尉）
速射砲中隊（関井喜雄大尉）

知念半島での待機時には、独立第2大隊（古賀少佐）、独立第29大隊（中本大尉）、独立速射砲第7大隊（中島少佐）、迫撃砲中隊を指揮下に入れていました。シュガーローフの戦いでは、天久台地区の独立第2大隊のほか、上記建制部隊の消耗が激しく、海軍航空隊や海軍根拠地隊の地上勤務員などから編成された、海軍山口大隊、海軍丸山大隊の一部、海軍伊藤大隊、風部隊（航空保安通信警備中隊）、特編（伊藤）大隊（海軍伊藤大隊とは別隊）などが配属されました。

参考文献

[戦史叢書]　沖縄方面陸軍作戦　朝雲新聞社
アジア歴史資料センター沖縄作戦に於ける独立混成第十五聯隊史実資料　第32軍残務整理部編　防衛省防衛研究所図書館蔵
アジア歴史資料センター独立混成第十五聯隊陣中日誌　昭和19年6月～昭和20年3月　防衛省防衛研究所図書館蔵
ジェームス・H・ハラス（著）猿渡青児（訳）『沖縄シュガーローフの戦い　米海兵隊地獄の7日間』光人社、2007年4月、ISBN 4769813457

関連項目

沖縄戦
独立混成第44旅団
シュガーローフの戦い
大日本帝国陸軍連隊一覧

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