独立混成第44旅団 (日本軍)

独立混成第44旅団

独立混成第44旅団は、大日本帝国陸軍の旅団の一つです。この旅団は、師団に所属しない「独立」部隊であり、様々な兵科が組み合わされた「混成」部隊であることが特徴です。

沿革

1944年6月3日、熊本で鹿児島45連隊留守部隊を基幹とする第1歩兵隊と、都城23連隊留守部隊を基幹とする第2歩兵隊が編成され、旅団砲兵隊と旅団工兵隊を加えて独立混成第44旅団が完結しました。

同年6月27日、沖縄への輸送のため、約4,100名の2個歩兵隊は富山丸に、旅団司令部、砲兵隊、工兵隊は別の船に分乗しました。しかし、6月29日、富山丸が米潜水艦の雷撃により沈没し、3,724名もの戦死者を出すという大惨事となりました。これにより、第1歩兵隊は事実上壊滅し、復員することとなりました。また、この沈没事故で、歩兵砲や速射砲、トラックなどの重装備も失われました。

1944年7月5日から12日にかけて、第1歩兵隊の代わりに独立混成第15連隊が空輸され、旅団に編入されました。同年7月から9月にかけて、第2歩兵隊は本土からの基幹要員と現地召集者を加えて再編成されました。

1944年11月、沖縄北部（国頭地区）の守備のため、第2歩兵隊の第1大隊と第2大隊を基幹とする国頭支隊が派遣されました（支隊長は宇土大佐）。12月1日には、伊江島守備のため、国頭支隊から第2歩兵隊第1大隊（井川正少佐）が派遣されました。これにより、国頭支隊は第2大隊基幹となり、陣地を縮小して本部半島の八重岳に篭ることとなりました。

1945年4月1日に沖縄戦が開始されました。旅団主力は米軍の迂回上陸に備え、知念半島で待機しました。4月6日から16日にかけて、八重岳の戦いが起こり、第6海兵師団との戦闘で国頭支隊は大きな損害を出し、その後ゲリラ戦に移行しました。また、4月16日から20日にかけては、伊江島の戦いが起こり、第2歩兵隊第1大隊を基幹とする伊江島守備隊2,000名は米陸軍第77歩兵師団の攻撃を受け、玉砕しました。

4月28日、旅団主力は首里防衛線の最西翼である安里地区に移動しました。5月12日から18日にかけては、シュガーローフの戦いが繰り広げられました。6月9日には、シュガーローフの戦いでの功績により、旅団司令部が第32軍から感状を授与されましたが、6月中旬には、本隊が沖縄島尻地区で玉砕しました。国頭支隊の残余99名は、10月2日に米軍に投降しました。

歴代旅団長

(氏名不明)

隷下部隊

第1歩兵隊（柴田常松大佐）：歩兵隊本部、3個歩兵大隊、1個歩兵砲中隊、1個速射砲中隊で構成されていましたが、富山丸の遭難で柴田大佐が殉職し、部隊は復員・解散となりました。
第2歩兵隊（宇土武彦大佐）：第1歩兵隊と同様の編成でした。
独立混成第15連隊（美田千賀蔵大佐）
旅団砲兵隊（原秀男大尉）
旅団工兵隊（村本福次大尉）

参考文献

[戦史叢書]　沖縄方面陸軍作戦　朝雲新聞社
ジェームス・H・ハラス（著）猿渡青児（訳）『沖縄シュガーローフの戦い　米海兵隊地獄の7日間』光人社、2007年4月、ISBN 4769813457

関連項目

沖縄戦
富山丸
シュガーローフの戦い
渡野喜屋事件

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