狭隘路線

狭隘路線（きょうあいろせん）とは

狭隘路線とは、狭い道路を走行する乗合バスの路線を指します。これらの路線は、道路幅がバスの全幅と比較して狭く、一部区間が狭隘道路であることが特徴です。そのため、その特定の区間を「狭隘区間」と呼ぶこともあります。また、地方自治体が定義する狭隘道路に基づいて、行政的に狭隘路線が設定されることもあります。

路線バスの運行に求められる条件

バス路線の運行には、車両制限令が適用されます。これは、バスが通行する際の道路の幅員やその他条件を厳密に定めた法律です。新たなバス路線を開設する際には、これらの基準を満たす必要があり、特に幅員が4.5m以上の道路でしか通行が許可されないとされています。例えば、三菱自動車工業（現在は三菱ふそうトラック・バス）は、幅員4.5mの道路を運行する場合を狭隘路線と位置付けています。大きなバス車両は約2.5mの幅を持つため、狭隘路線では中型バス以上の車両が離合することが難しいのです。

路線設定の背景

路線を運行するためには、運輸局による許認可が必要です。その申請には、走行する道路の詳細（キロ程、幅員、カーブ角度、勾配など）を記載した図面も求められます。特に「道路構造上運行に支障を与えない大きさ、重量であること」という審査基準が設けられており、これに基づいて申請内容が審査されます。道路条件と車両サイズが一致しない場合、たとえば大型バスが軽自動車とすれ違えないと判断されると、許認可が下りないケースもあります。しかし、交通量が少ないと見なされた場合には、大型バスが通行可能な路線が設けられることもあります。

過去には、バスに車掌が乗務していたため、車掌の指示で後退して離合を行うことが可能でしたが、現在はワンマン運転が主流で、このような施策は難しくなっています。1980年代までは、ワンマンバスには幅員6m以上の道路が必要とされていましたが、現在では6m未満でも運行許可が下りるケースが増えています。

コミュニティバスと狭隘路線

コミュニティバスは、高齢者や交通弱者の利便性を向上させるため、一般のバスが運行しきれない狭隘路を走行する設定が多くなっています。しかし、狭隘道路の幅員基準を満たすためには難航することも少なくありません。たとえば、1995年に開業した武蔵野市のムーバスは、住宅街を運行するため専用の小型バスを使用し、幅員に制限がある道路も走行できるよう工夫を重ねました。

同様に、東京都三鷹市の「みたかシティバス」や、府中市の「ちゅうバス」では、狭隘区間に待避所を設けたり、誘導員を配置することで運行を続けています。このように、コミュニティバスなどの狭隘路線では小型バスが導入されることが多く、特に日野製のポンチョが現在の主流車両として活躍しています。

趣味的視点

狭隘路線に対しては、バスファンの間でも独特の関心が集まっています。『バスマガジン』などの専門誌では、狭隘路線における運転士の技術的な側面に焦点を当てたレポートが掲載され、運転技術の重要さが強調されています。

除雪作業との関連

自治体における除雪作業でも、小型除雪機械が必要とされる狭隘道路が「狭隘路線」として指定されます。例えば、青森県五所川原市では、幅員3ｍ以下の道路がこのように定義されていることがあります。

このように、狭隘路線は交通の効率的運行にとって重要な要素であり、さまざまな条件や工夫によって運営されています。

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