狼たちの影

『狼たちの影』（原題：The "Human" Factor）は、1975年に公開されたアメリカ、イギリス、イタリアの合作によるサスペンスアクション映画です。巨匠エドワード・ドミトリク監督の最後の作品であり、主演はジョージ・ケネディが務めました。

日本では、VHS発売時に『電子の復讐者』というタイトルに変更されてリリースされました。この改題は、作品の内容をよりセンセーショナルにアピールするための戦略だったと考えられます。

物語は、NATO（北大西洋条約機構）のコンピュータ専門家であるジョン・キンズデールが、イタリアのナポリでテロリストによって妻子を無残に殺害されるところから始まります。深い悲しみに打ちひしがれたジョンは、絶望のあまり拳銃自殺を試みます。しかし、その瞬間、テレビのニュースで報道されるテロ事件を目撃した彼は、復讐心を燃え上がらせ、自らの手で犯人たちを追い詰めることを決意します。

ジョンを演じるのは、個性派俳優ジョージ・ケネディ。彼は、家族を失った男の悲しみと怒りを、力強く、そして繊細に表現しています。共演には、ジョン・ミルズ、ラフ・ヴァローネ、リタ・トゥシンハム、バリー・サリヴァンなど、国際色豊かな俳優たちが名を連ねています。

映画の公開当時、国際的なテロリズムが社会問題化していたという背景もあり、本作は観客の心に深く突き刺さる作品として受け止められました。テロによって愛する者を奪われた男が、絶望から這い上がり、復讐を果たす姿は、観る者に強い感情移入と共感を与えます。

監督を務めたエドワード・ドミトリクは、ハリウッドの黄金期を支えた名監督の一人です。彼は、本作で、サスペンスフルなストーリー展開と、緊迫感あふれるアクションシーンを巧みに融合させ、観客を最後まで飽きさせない見事な演出を披露しています。本作は、彼の監督としての遺作となりました。

日本語吹替版では、ジョン・キンズデール役を宮川洋一、マイク・マカリスター役を大木民夫、ルポ警部役を石田太郎が担当しています。その他、宗形智子、嶋俊介、鈴木れい子など、豪華声優陣が脇を固めています。初回放送は1987年3月5日、テレビ朝日系『木曜洋画劇場』でした。


主なキャスト
ジョン・キンズデール：ジョージ・ケネディ（宮川洋一）
マイク・マカリスター：ジョン・ミルズ（大木民夫）
ルポ警部：ラフ・ヴァローネ（石田太郎）
ジャニス・ティルマン：リタ・トゥシンハム（宗形智子）
ジョージ・エドモンズ：バリー・サリヴァン（嶋俊介）
アン・キンズデール：フィアンマ・バージェス（鈴木れい子）


その他キャスト
フラー将軍：アーサー・フランツ
ミス・ピジョン：ヘイディー・ポリトフ
アンドリュー・テイラー：トム・ハンター
カマル・ハムシャリ：フランク・アビアンカ
カーター：シェーン・リマー
マーク・キンズデール：ダニー・ヒューストン
ジェフリー・キンズデール：リッキー・ハリソン
リンダ・キンズデール：ヒラリー・リーフ
フィリップス：マイケル・マンデヴィル
マーク・ローウェル：エディ・フォンセカ
アグネス・フォンセカ：ヤン・イングランド
クリストファー・ジェラルディ：ルイス・チャールズ
コリーヌ・ジェラルディ：コリーヌ・ダン
マルコ：ヴィンチェンツォ・クロチッティ


外部リンク
The "Human" Factor - IMDb（英語）
The "Human" Factor - Rotten Tomatoes（英語）
* 狼たちの影 - allcinema

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