猛毒隊

猛毒隊（もうどくたい）は、かつて日本の女子プロレス界に存在した、悪役レスラーで構成されたユニットです。別名として「マッド・ドッグ・ミリタリー」とも呼ばれ、主にプロレス団体FMW（フミヤズ・ミクスド・レスリング）を主戦場として活動を展開していました。

このユニットは、シャーク土屋、里美和、クラッシャー前泊、バッドナース中村（後にRIEと改名）といった、当時のFMW女子部に所属する実力派のヒールレスラーを中心として結成されました。猛毒隊はFMWの女子部門における主要な勢力として、様々な抗争を巻き起こし、団体のマットを盛り上げました。

猛毒隊の活動で特筆すべきは、その影響力が所属団体FMWの枠に留まらなかった点です。彼女たちは、単にホームリングであるFMWのマット上で暴れるだけでなく、他のプロモーションのリングにも積極的に進出しました。当時の女子プロレス界において団体間の交流は一般的でなかったため、猛毒隊の活動は、団体間の垣根を越えた対抗戦や合同興行といった、後の流れを創る先駆けの一つと言えます。彼女たちの存在は、ヒールとしてだけでなく、女子プロレス界全体の活性化に貢献した側面も持っていたのです。

中でも大きな注目を集めたのは、他の主要女子プロレス団体に所属するヒールユニットとの連携です。当時、LLPWで活動していたイーグル沢井選手率いる「平成GUREN隊」、そしてJd'のマットを主戦場としていたライオネス飛鳥選手率いる「裁恐軍」と手を組み、巨大な合同ユニットを結成しました。「平成裁恐猛毒GUREN隊」と名付けられたこの連合体は、後に「裁恐猛毒G-MAX」と改称し、各団体のトップヒールが集結した強力なユニットとして女子プロレス界を席巻しました。この合同ユニットは高く評価され、1997年には東京スポーツ選定の女子プロレス大賞を受賞しています。

しかし、この強力な合同ユニットも、長く体制を維持することはできませんでした。まず、ライオネス飛鳥選手がGAEA JAPANへの進出を機に合同ユニットから離脱。その後、2000年に入ると、クラッシャー前泊選手が引退し、さらに猛毒隊の一員でもあった風間ルミ選手がイーグル沢井選手、井上貴子選手らと共に新たなユニット「ブラックジョーカー」を結成するなど、メンバーの離散や新たな動きが相次ぎました。こうした状況を経て、「裁恐猛毒G-MAX」は事実上、活動を終え、分裂・解散の道をたどります。

合同ユニット解体後、猛毒隊としての活動は一旦休止状態となりましたが、2003年、往年の主要メンバーであったシャーク土屋選手によって、一時的にその名が復活します。当時、JWP女子プロレスを退団してフリーとして活動していた倉垣ツバサ選手と共闘する形で「新生・猛毒隊」としてリングに登場しましたが、かつてのような継続的な活動には至らず、程なくして再び解散となりました。

以下は、猛毒隊の主要メンバーとして活動したレスラーの一部です。

シャーク土屋
里美和
クラッシャー前泊
バッドナース中村（後にRIEへ改名）
キラー岩見
ミス・モンゴル

猛毒隊は、FMW女子部を彩っただけでなく、他の団体との積極的な交流を通じて女子プロレス界に大きな足跡を残したヒールユニットとして記憶されています。

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