猪ノ鼻峠

猪ノ鼻峠（いのはなとうげ）

猪ノ鼻峠は、香川県三豊市と徳島県三好市を結ぶ、讃岐山脈に位置する峠です。若狭峰と二軒茶屋の間に位置し、国道32号と土讃線が通過する交通の要衝となっています。

概要

峠の標高は413m（旧道は550m）です。旧国道32号である香川県道・徳島県道5号観音寺池田線は、急カーブと急勾配が連続し、制限速度30km/h、ネズミ捕り多発地帯として知られていました。また、夏期は台風による大雨、冬期は降雪や路面凍結による通行規制や事故が頻発していました。

これらの問題を解消するため、猪ノ鼻道路が計画され、2008年に新猪ノ鼻トンネル（全長4.2km、幅8m）が着工、2020年に開通しました。これにより、峠越えの交通は大幅に改善されました。

新国道32号猪ノ鼻道路は、三豊市財田町財田上から三好市池田町州津までの8.4kmの区間です。新猪ノ鼻トンネルのほか、徳島県側には西山トンネル、箸蔵第1トンネル、箸蔵第2トンネルの計4つのトンネルが建設されています。新猪ノ鼻トンネルと西山トンネルの間では、徳島県道6号込野観音寺線に接続しています。

歴史

約100万年前には、吉野川が猪ノ鼻峠の低所部を通り、北へ流れていました。古くは、阿波の村と讃岐の農家の間で「借耕牛」という習慣があり、阿波から讃岐へ農耕用の牛が猪ノ鼻峠を越えて往来していました。当時の峠は「うさぎ道」と呼ばれる獣道で、追剥も出没したと言われています。

1894年（明治27年）には、大久保諶之丞によって四国新道が開通し、人力車や荷馬車が通る商いの道として整備されました。街道沿いには茶店や旅籠が建ち並び、賑わいを見せていました。戦後、国道32号として国直轄の改築工事が開始され、1967年（昭和42年）には猪ノ鼻トンネル（全長827m）や込野トンネル（全長354m）を含む7つのトンネルが建設されました。その後、大型車の交通量増加に対応するため、登坂車線が建設され、1982年（昭和57年）に完成しました。

猪之鼻隧道

猪之鼻隧道は、香川県と徳島県の県境を結ぶ香川県道・徳島県道5号観音寺池田線のトンネルです。2021年3月31日までは国道32号（国道319号重複）として利用されていました。

1964年（昭和39年）に完成し、全長827m、幅員7.7mです。国土地理院発行の2万5千分1地形図「阿波池田」では、「猪ノ鼻トンネル」と記載されています。

関連項目

日本の峠一覧
国道32号
* 大久保諶之丞

もう一度検索