猪俣党

猪俣党（いのまたとう）

猪俣党は、武蔵国那珂郡（現在の埼玉県児玉郡美里町周辺）に拠点を置いた武士団であり、武蔵七党の一派として知られています。小野篁の末裔を称する横山党と同族にあたります。猪俣党は主に猪俣氏を名乗り、その勢力は神流川扇状地と利根川南岸の旧河道に広がり、条理水田に根ざしたと考えられています。

歴史

猪俣党は、保元の乱や平治の乱といった戦乱で活躍し、その名を歴史に刻みました。特に、猪俣小平六範綱と岡部六弥太忠澄は、猪俣党を代表する武将として知られています。しかし、豊臣秀吉の惣無事令に違反し、小田原征伐の一因となった猪俣邦憲は、富永氏からの養子であり、猪俣氏の血統ではありません。

猪俣小平六範綱

猪俣小平六範綱は、猪俣党の頭領であり、四代目の子孫にあたります。保元の乱で源義朝に仕え、平治の乱では源義平の下で活躍し、十七騎の勇将として名を馳せました。源頼朝・源義経にも仕え、一ノ谷の戦いでは平盛俊を欺いたと伝えられています。小平六の死後、一族の霊を慰めるため、猪俣百八燈という行事が毎年行われています。

岡部六弥太忠澄

岡部六弥太忠澄は、猪俣党の庶流にあたります。彼もまた、保元の乱で源義朝に、平治の乱で源義平に仕え、十七騎の勇将として知られています。一ノ谷の戦いでは平忠度を討ち取りました。忠澄は平忠度の菩提を弔うため、埼玉県深谷市の清心寺に供養塔を建立しました。また、彼の墓は埼玉県深谷市の普済寺にあります。加賀藩十村役岡部家や、旧田端村・成宗村の領主であった旗本岡部家は、六弥太の子孫であるとされています。杉並区の地名の由来は、岡部家が植えた杉並木であるという説があります。

系譜

（注：兄弟の順序は判明している範囲で記述されています。）

関連項目

武蔵七党
猪俣邦憲
* 藤田氏

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