平盛俊

平盛俊：平家滅亡を彩った猛将の生涯

平盛俊は、平安時代末期に活躍した武将です。伊勢国を拠点とした伊勢平氏の一族として、その名を知らしめました。類まれな武勇で知られ、平清盛から厚い信頼を得ていました。

平清盛への忠誠と活躍

盛俊は、並外れた膂力を持つ猛将として名を馳せました。その能力は単なる武勇にとどまらず、政治・実務にも長けていました。清盛の側近として政所別当を務め、その信頼の厚さは、清盛が自らの側室であった厳島内侍を盛俊に与えたという逸話からも伺えます。安元元年（1175年）には越中守に任じられるなど、着実に地位を上げていきました。鹿ケ谷の陰謀では、清盛の命を受け、陰謀の中心人物である藤原成親を捕縛するなど、重要な役割を担いました。

近江攻防と平氏政権の中核

治承4年（1180年）、富士川の戦いで平氏が敗北すると、各地で反乱が勃発しました。平氏は反撃を開始し、盛俊は侍大将として近江国の戦線に投入されます。園城寺攻撃では、金堂に燃え移った火を迅速な判断と行動で消し止め、その機転の良さを示しました。畿内の反乱が鎮圧された後も、盛俊は平氏政権の中核を担い続けました。清盛の死後、平宗盛が政権を継承すると、丹波国諸荘園惣下司に任命され、平氏の軍制における重要な地位を占めました。他の武将たちが前線での戦闘に投入される中、盛俊は宗盛ら一門主流に近い立場にあったことがわかります。

北陸道での激戦と倶利伽羅峠の戦い

寿永2年（1183年）、平維盛を総大将とする大軍が北陸道へ進軍しました。盛俊もこの大軍に参加し、緒戦では勝利を収めます。しかし、般若野の戦いで源義仲軍の奇襲を受け、平氏軍は不利な状況に陥り、加賀国へ退却します。その後、平氏軍は二手に分かれ、盛俊は別働隊を率いて志保山へ進軍しました。しかし、倶利伽羅峠の戦いで本隊が壊滅的な敗北を喫し、盛俊も退却せざるを得なくなりました。続く篠原の戦いでも平氏は敗北を喫しますが、『玉葉』は、この敗因を大将軍と侍大将たちの権力闘争にあったと記しています。盛俊は宗盛の側近であり、この権力闘争が平氏軍の敗北に影響を与えた可能性が示唆されています。

平家都落ちと九州での奮戦

平氏は都落ちを余儀なくされ、九州を目指します。盛俊は本隊より先に九州へ下向し、在地武士の糾合に尽力したと考えられています。しかし、九州での情勢は厳しく、平氏は各地の反発に遭い、九州を放棄して再び海上を漂うことになります。

屋島と一ノ谷の戦い、そして最期

四国に上陸した平氏は屋島を拠点とし、勢力回復を図ります。一ノ谷の戦いでは、盛俊は鵯越口の防衛を任されました。しかし、源氏軍の猛攻の前に平氏軍は全線崩壊し、盛俊はもはや逃げることもできませんでした。源氏の武将、猪俣範綱との壮絶な組討の末、範綱の策略によって討ち取られてしまいます。盛俊の最期は、平家滅亡の悲劇を象徴する出来事の一つと言えるでしょう。

系譜とその後

盛俊の父は平盛国、妻は厳島内侍です。盛俊には、平盛綱、平盛嗣という少なくとも二人の息子がいました。盛俊の死後、伊勢平氏は衰退の一途を辿り、平家の歴史に幕を閉じました。彼の武勇と忠誠心は、平家物語などを通じて後世に語り継がれ、平家滅亡の物語に深みを与えています。

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