猿渡容盛

猿渡 容盛

猿渡 容盛（さわたり ひろもり、1811年7月7日 – 1884年8月8日）は、幕末から明治時代にかけての神職、国学者、歌人です。武蔵国府総社六所宮（大國魂神社）の神主を務め、また大学中助教や諸陵允、少宣教使としても名を馳せました。彼は平田篤胤の影響を受けて復古神道を唱え、神仏分離を推進したことで知られています。特に、明治維新後は新政府での神仏分離の実現を目指し、全国の陵墓を調査しました。

経歴

容盛は文化8年、武蔵国府中宿で猿渡盛章の長男として誕生しました。幼少期から神職としての道を歩み、文政8年には新神主としての役目を引き継ぎ、さらに文政9年には神道裁の許可を得て「豊後」と称しました。弘化元年には父の病気を受けて家業を継承し、文久2年には神主としての地位を確立しました。明治2年には神職を息子に譲り、大学中助教として新たな任務に就きました。

明治4年、教部省に仕官し、全国の陵墓を調査しましたが、副次的な成果物が関東大震災によって焼失してしまいました。その後、内務省の社寺局、宮内省の御陵墓懸と、様々な役職を経て、明治12年に退官し、1884年に亡くなりました。

著書

容盛は多くの著作を残しました。『類題新竹集』や、『類題明治新和歌集』を出版し、また『万葉提要』や『武蔵総社誌』など、神社や和歌にまつわる重要な文献も手がけました。特に『樅の下枝』は歌集として知られ、平田篤胤の神道を基にした作品が多く含まれています。また、彼の視点から見た時代の変化を記した『反故帖』もあります。

思想・事跡

容盛は、敬神や国体の維持を基本にした思想を持ち、幕末から明治にかけての情勢を見つめつつ、自らの信念に基づいた活動を展開しました。彼の構想は、神社の仏教的要素の排除や新たな神道の確立を目指したものであり、明治4年には『年中行事』『御神事式』を書くことで、社僧の役割の排除を進めました。また、仏教に反発し、仏道の要素を排除する動きの中で、神仏分離を実行に移しました。

和歌

猿渡容盛は、幼少期から和歌に親しみ、国文学においても多大な影響を与えました。彼の作品は、さまざまな和歌の集まりに掲載されており、その偉業は後世に受け継がれました。明治時代の歌人として、時代の精神を反映した和歌を詠み続けました。

家族

容盛の後妻は千世子で、水戸藩の家柄に生まれ、彼もまた神職の地位を引き継ぎました。容盛の子供たちも父の業を継承し、特に次男の盛愛は、大國魂神社の宮司として働きました。家族は彼の影響を受けつつも、それぞれの分野で活躍し、次世代の神職を支えました。

猿渡容盛の生涯は、幕末から明治初期の日本の神道や文化、国学の進展において、重要な役割を果たしました。彼の業績は後世においても大きな影響を与え続けており、現在でも多くの研究や評価が行われています。

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