率分関

率分関（りつぶんのせき/そつぶんのせき）

率分関は、鎌倉時代以降に政府機関によって設置された関所であり、その形式を一般的に「率分所」とも呼びます。この関所は、広義において官衙の一部として位置づけられることがあります。最初にその登場が確認できるのは14世紀の徳治年間であり、それ以前の平安時代における財政制度の変遷が背景にあります。

背景と機能

平安時代では、朝廷や官司の収入を支えるために、率分・率分堂といった制度が存在していました。しかし、鎌倉時代に入るとこれらの制度は次第に機能しなくなり、その代替として率分関が登場しました。これにより、新たな財源としての役割を担うこととなり、各関所はそれぞれの官司に所属して、収益は公家の長官のもとへと流れていくことになりました。例えば、内蔵寮や内膳司、御厨子所など、様々な官司が関与していました。

所在地と影響

特に京都の出入口には「京都七口関」と呼ばれる主要な関所があり、多くの率分関が設けられました。そのため、通行人はしばしば多重に関銭を支払う羽目になり、経済的な負担が増すこともありました。さらには河内国楠葉や越前国三国湊といった交通要所にも設置され、交通網の一部を担っていました。

室町時代の変化

室町時代に入ると、守護や代官が請け負う形で、率分関が新たに設立されることが多くなりました。しかし、馬借や一般民衆にとっては通行の妨げとなることが多く、時には一揆などで攻撃や破壊の対象になることもありました。これに対しても、鎌倉幕府や室町幕府、また織田政権などの歴代の権力者は規制や廃止を試みたものの、朝廷への影響を考慮しつつ、保護的な態度を取り続けました。

廃止と文化的意義

最終的には、豊臣政権の下において率分関は廃止されることとなります。皮肉なことに、長らく財政の一翼を担ってきたこれらの関所は、その存在意義を徐々に失っていったのです。しかしながら、率分関は中世日本における財政制度と交通の歴史を語る上では欠かせない存在であり、官司の権力と財源の関係、さらに民衆との相互作用を考察するための重要な資料ともなっています。これらの関所は、福祉的な役割をも持ち合わせていたものの、時代と共にその機能が変化していったことが今なお私たちに多くの示唆を与えています。

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