内膳司

内膳司（ないぜんし）

内膳司は、日本の律令制度において宮内省に属し、天皇の日常の食事の調理や配膳、さらに食料の調達を専門に行う機関です。この機関は、内蔵寮の南に位置し、官位は大司に相当します。また、内膳司の和名は「うちのかしわでのつかさ」であり、別名とも言われます。

職掌の歴史

内膳司の前身である膳職は、大宝律令が制定される前に存在していました。この律令に基づき、大膳職と分離され、内膳司が設立されました。内膳司は主に天皇の日々の食事に関与し、その重要性は時を経て高まっていきました。特色として、内膳司は「外」と「内」が対になる機関として機能しており、例えば典薬寮や内薬司などもこのような形式を取っていました。

さらに、時代が進むにつれて、内膳司は他の機関とも統合が進み、特に寛平八年（896年）には、園池司を吸収しました。これにより、役割が拡大し、管理体制が一層強化されることとなりました。

職員構成

内膳司には、いくつかの重要な職位が設けられていました。

• - 別当: 内膳司の最高責任者であり、定員は1名、官位は三位相当です。この役職は大納言または中納言が兼職していました。
• - 奉膳と正（かみ）: 奉膳は内膳司の長官に相当し、定員は2名、官位は正六位上です。彼らは内膳司を統括し、これに加え試食（毒味）を行っていました。正は後に他氏からも任命されるようになり、奉膳職は高橋氏に世襲されました。
• - 典膳（てんぜん）: 次官に相当し、定員は6名、官位は従七位下です。
• - 令史: 主典に相当し、定員1名、官位は大初位上です。
• - 膳部: 調理を担当する伴部で、定員は40名です。中には江長や網曳長、筑摩御厨長という特定の任務に従事する者も含まれています。

また、内膳司には他にも史生や使部、直丁、駈使丁といった様々な職員が存在し、食事の準備や管理に従事していました。

宗教的側面

平安時代中期には、内膳司には庭火神（庭火皇神）が祀られていました。これは、食事の重要性が宗教的な側面からも強調されていたことを示しています。

関連項目

内膳司に関する関連情報として、主膳監や高橋氏文、御食国などが挙げられます。これらの項目は、日本の古代から中世における食文化や官制に関連する重要な要素です。

内膳司は、天皇の日常生活における重要な役割を果たすばかりでなく、日本の食文化の発展に寄与した機関であると言えるでしょう。

もう一度検索