王允

王允の生涯と影響

王 允（おう いん、137年 - 192年）は、中国後漢末期の重要な政治家であり、董卓の暗殺を成し遂げたことで知られています。字は子師であり、山西省晋中市祁県出身です。彼の家族には兄の王宏、弟の王懋、子の王蓋、王景、王定がいます。祖先には王賁が名を連ねています。

若き日々

王允は若い頃、多才な人物として名を馳せていました。名儒の郭泰からは高い評価を受け、「一日に千里を走る程の才」と称賛されていました。19歳という若さで郡の役人となり、不正を働いていた趙津を捕らえて処刑したことで一躍名を高めましたが、その結果、趙津の兄弟が中央の宦官に賄賂を送り、王允に対する復讐が企てられました。この陰謀によって彼の上司が処刑される事態となり、王允はその後も様々な困難に直面しました。

政権の変遷

黄巾の乱が起こると、王允は豫州刺史として活躍し、荀爽や孔融と共に黄巾軍を撃破しました。乱が終息した後、彼は異常な権力を持つ十常侍の張譲に目をつけ、董卓の統治に取り込まれることとなりました。その後、董卓が権力を握ると王允もその中で重要な地位に就きます。

董卓の暗殺

王允は、董卓の暴政に次第に危機感を抱き、彼を暗殺する計画を練ります。切り込み役は、董卓の養子で寵臣だった呂布でした。呂布は、董卓に信頼されつつも恐怖感を抱いており、王允の暗殺計画に協力することになりました。192年4月、王允の計画通り、呂布により董卓は宮殿内で命を奪われました。

暴政とその後

呂布の功績により王允は奮威将軍に任命されましたが、安全を重視し過ぎた彼は、その後の政権運営において柔軟さを欠くようになります。董卓の残党に対する怒りから、王允はその粛清を進めましたが、適切な対応ができず反発を招くこととなりました。

旧董卓軍の兵士に対する特赦を拒否し、功績を誇示する呂布との関係も悪化。さらに王允が理不尽な対応を取り続けたため、彼の周りの同盟者たちとの溝が深まっていきました。これにより、伝説的な破滅の道をたどることとなります。

王允の最期

彼が最後に迎えた運命は悲劇的でした。反乱を起こした李傕や郭汜の攻撃を受け、彼と呂布は敗北を喫します。呂布が撤退する際、王允は自らの運命を受け入れる覚悟で長安に残り、その後、捕まって処刑されてしまいました。享年57。王允の死は人々に深い悲しみをもたらし、献帝も後に彼の忠節を思い、再び弔いを行いました。

三国志演義における王允

後の小説『三国志演義』では、王允が養女の貂蝉を使って董卓と呂布を仲違いさせる策略を巡らせたとされています。この「連環の計」は、王允の政治的な巧妙さと、策略家としての一面を強調するエピソードとなっています。王允の実績とその複雑な生涯は、今なお多くの人々の記憶に残っています。

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