王勇 (歴史学者)

王勇（おう ゆう、1956年 - ）は、中華人民共和国の著名な歴史学者であり、浙江工商大学日本文化研究所の所長を務めています。彼の中日文化交流史、特に日本古代史における研究は、学術界で高く評価されています。また、中国日本史学会の副会長としても、中国における日本史研究の発展に大きく貢献しています。

浙江省に生まれた王勇は、1982年に浙江大学日本語学科を卒業後、研究者としての道を歩み始めました。1991年には浙江大学の教授に就任し、浙江大学日本文化研究センターの所長も兼任しました。その後、北京大学中国語言文学系教授を経て、2004年に現在の浙江工商大学日本文化研究所所長に就任しました。

学外での活動も活発で、国際日本文化研究センターや国文学研究資料館で客員教授を務めたほか、早稲田大学日本宗教文化研究所の招聘研究員も務めました。これらの活動を通じて、日本の研究者との交流を深め、共同研究を推進するなど、国際的な学術交流に貢献しています。

日中歴史共同研究中国側委員としては、古代・中近世史分科に参加し、「「ヒト」と「モノ」の流動——隋唐時期を中心に」、「日中古代政治社会構造の比較研究」といった重要なテーマに取り組み、研究成果を発表しています。これらの研究は、日中間の歴史認識の相互理解を深める上で重要な役割を果たしています。

王勇は、中国における日本研究の第一人者として、数多くの日本語著書を出版しています。以下に主な著書を挙げます。

『聖徳太子時空超越―歴史を動かした慧思後身説』（大修館書店、1994年）
『天台の流伝: 智顗から最澄へ』（山川出版社、1997年、藤善真澄との共著）
『唐から見た遣唐使―混血児たちの大唐帝国』（講談社選書メチエ、1998年）
『中国史のなかの日本像』（農山漁村文化協会、2000年）
『おん目の雫ぬぐはばや―鑑真和上新伝』（農山漁村文化協会、2002年）
『書物の中日交流史』（国際文化工房、2005年）

特に、『中国史のなかの日本像』は、中国で戦後初となる日本文化通史として刊行され、中国の読者に日本文化に対する理解を深める上で大きな影響を与えました。この著作は、中国の視点から日本の歴史と文化を捉え直すという斬新な視点を提供し、学術界だけでなく一般読者からも高い評価を得ました。

王勇の研究は、中日文化交流史、日本古代史という専門分野にとどまらず、日中関係の歴史的背景を理解する上で不可欠なものとなっています。彼の著作や研究活動は、今後の日中間の相互理解と友好関係の発展に貢献することが期待されています。

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