王建 (前蜀)

王建（おう けん）：前蜀の初代皇帝

王建（847年 - 918年）は、五代十国時代の前蜀を建国した初代皇帝。廟号は高祖。

生涯

蜀を得るまで

王建は許州舞陽県（現在の河南省舞陽県）に生まれた。若い頃は、屠殺や塩の密売に関わる無頼の徒として過ごし、地元では「賊王八」と呼ばれていたという。黄巣の乱が発生すると、官軍に参加し、鎮圧に貢献して軍功を上げた。その後、朝廷の実力者であった宦官、田令孜の養子となり、僖宗が蜀に避難する際の功績が認められ、神策軍使、西川節度使、壁州刺史などを歴任した。

王建は、在地勢力の取り込みに尽力し、自らの勢力を拡大していった。文徳元年（888年）には永平軍節度使に任じられ、大順2年（891年）には養父である田令孜を殺害して成都を制圧。さらに、剣南西川藩鎮を滅ぼし、四川全域をほぼ掌握し、成都を拠点として独立勢力を築いた。

天復元年（901年）には、鳳翔の岐王李茂貞から漢中を奪い、天復2年（902年）には山南西道を手に入れた。そして、天復3年（903年）には蜀王に封じられるに至った。

即位と治世

天祐4年（907年）に唐が後梁によって滅ぼされると、王建は後梁の支配を嫌い、皇帝を称して元号を天復と改め、国号を大蜀と定めた。後世の史家は、この国を前蜀と呼んでいる。

前蜀は、天然の要害となる地理条件と、塩や鉄といった重要資源を豊富に産出するという経済的優位性を背景に、安定した国家運営を行った。王建は、在位期間中、国内の安定に力を注ぎ、農業振興と水利事業を積極的に推進し、「与民休息」の政策を実現した。また、戦乱を避けて多くの文人が前蜀に亡命してきたため、彼らを保護し、文化振興政策を実行した。

しかしその一方で、国内への監視も怠らず、「尋事団」と呼ばれる秘密警察を組織し、不満分子を徹底的に弾圧したという負の側面も持ち合わせている。

宗室

后妃

順徳皇后周氏
貴妃張氏
賢妃徐氏
淑妃徐氏
馬氏、周氏、宋氏、陳氏、山氏、褚氏、喬氏

男子

衛王 王宗仁
遂王 王宗懿（王元膺）
豳王 王宗輅
趙王 王宗紀
韓王 王宗智
宋王 王宗沢
魯王 王宗鼎
信王 王宗傑
薛王 王宗平
莒王 王宗特
後主 王宗衍

女子

普慈公主
安康公主
峨嵋公主

仮子

王建は多くの子をもうけたが、実子以外に多数の仮子（養子）がいたことも特筆される。

王宗弼（鉅鹿王・中書令、本名は魏弘夫）
王宗侃（楽安王・中書令、本名は田師侃）
王宗浩（興州刺史）
王宗賀（興元留後）
王宗綰（臨洮王・中書令、本名は李綰）
王宗裔（瑯琊王）
王宗翰（集王、本姓は孟氏）
王宗夔（瑯琊王）
王宗播（臨潁王・中書令、本名は許存）
王宗黯（瑯琊王、本名は吉諫）
王宗阮（決勝兵馬都知使、本名は文武堅）
王宗昱（天雄軍節度使）
王宗本（本名は謝従本）
王宗渥（親従都指揮使、本名は鄭渥）
王宗滌（山南西道節度使・同平章事、本名は華洪）
王宗瑤（臨淄王・中書令、本名は姜郅）
王宗佶（中書令、本姓は甘氏）
王宗勉（本名は趙章）
王宗祐（彭州刺史）
王宗謹（本名は王釗）
王宗訓（武泰軍節度使、本名は王茂権）
王宗矩（本名は侯矩）
王宗勲
王宗朗（雄武軍節度使、本名は全師朗）
王宗威（山南節度使）
王宗儔（山南節度使・中書令）
王宗儼（甲申指揮使）
王宗魯（武興軍節度使）
王宗鐸（興州刺史）
王宗宏
王宗範（妃嬪の周氏と前夫の子）
王宗晏（永寧軍節度使）
王宗寿（嘉王・武信軍節度使、王建の族子）
王宗信（左神勇軍使）
王宗弁（蜀州刺史、本名は鹿弁）
王宗汭（招討副使）
王宗儒（本名は楊儒）
* 王宗鍔（右定遠軍使）

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