黄巣

黄巣（こう そう）

黄巣は、唐末の混乱期に大規模な反乱を率いた人物です。彼の蜂起は、唐王朝の衰退を決定づけ、中国史に大きな影響を与えました。

生涯

黄巣は、現在の山東省菏沢市牡丹区にあたる曹州冤句県の出身です。若い頃から武芸に優れ、任侠を好む一方で、学問にも励んでいました。しかし、科挙に何度も失敗したことから、塩の密売人として生計を立てるようになります。

874年、同じく塩の密売人であった王仙芝が反乱を起こすと、黄巣もこれに呼応して挙兵します。黄巣軍は各地を転戦し、唐王朝の支配を脅かす存在となっていきました。王仙芝との連携が解消された後も、黄巣軍は江南を経て広州を占拠し、そこで多くの外国人商人を殺害しました。その後、北上を目指し、長安を占領し皇帝を自称するも、食糧難と唐軍の反撃により敗北を重ね、最終的に自害しました。

黄巣の乱は、唐王朝を事実上滅亡させ、地方の軍閥が台頭するきっかけとなりました。この乱は、唐代の社会構造の矛盾が表面化したものであり、その後の中国の歴史に大きな影響を与えました。

黄巣の乱

黄巣の乱は、874年から884年にかけて、唐末期に発生した大規模な農民反乱です。この乱は、唐王朝の支配を大きく揺るがし、その滅亡を早める要因となりました。黄巣は、塩の密売人から反乱軍の指導者へと転身し、そのカリスマ性と軍事力で多くの人々を惹きつけました。彼の反乱軍は、各地で略奪や殺戮を行い、社会を混乱に陥れました。

黄巣軍は、長安を占領し、一時的に政権を樹立しますが、食糧難や官軍の反撃によって追い詰められ、最終的に壊滅しました。しかし、黄巣の乱は、唐王朝の権威を失墜させ、地方の軍閥が力を増大させるきっかけとなりました。この乱以降、唐王朝は実質的に分裂状態となり、その滅亡への道をたどることになります。

黄巣の評価

現代の中国では、黄巣は農民反乱の指導者として高く評価されています。明末の李自成と共に、民衆の苦しみを代弁し、腐敗した体制に立ち向かった英雄として捉えられています。しかし、その一方で、黄巣軍による略奪や殺戮もまた、歴史的事実として否定することはできません。黄巣の評価は、単純な善悪二元論では語ることができない複雑な側面を持っています。

詩

黄巣は、反乱への意気込みを詠んだ漢詩をいくつか残しています。中でも有名なのは、『題菊花』と『詠菊』です。これらの詩は、黄巣の反骨精神と革命への情熱を伝えています。

関連作品

谷恒生『長安烈日―大唐帝国を倒した巨魁・黄巣』

参考文献

史書
司馬光 (1084). 資治通鑑
(中国語) 唐紀六十八. 巻252. (1084)
近・現代
布目潮渢、栗原益男『隋唐帝国』（初版）講談社〈講談社学術文庫〉、1997年。ISBN 4061593005。
窪添慶文、關尾史郎、中村圭爾、愛宕元、金子修一 著、池田温 編『中国史 三国〜唐』 2巻（初版）、山川出版社〈世界歴史大系〉、1996年。ISBN 4634461609。
氣賀澤保規『中国の歴史6 絢爛たる世界帝国:隋唐時代』（初版）講談社、2005年。ISBN 978-4062740562。
* 氣賀澤保規『中国の歴史6 絢爛たる世界帝国:隋唐時代』講談社〈講談社学術文庫〉、2020年。ISBN 978-4-06-521907-2。

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