王徳榜

王徳榜（おう とくぼう、Wang Debang、1837年 - 1893年）は、清朝末期の動乱期に活躍した軍人です。字は朗青といい、湖南省永州府江華県の出身でした。

1852年、太平天国の軍勢が湖南省に侵攻すると、王徳榜は兄の王吉昌とともに団練を組織し、郷里の防衛に立ち上がりました。この初期の戦いで、王徳榜は軍事的な才能を発揮し、その後のキャリアの基礎を築きました。1855年からは戦場を江西省、浙江省、安徽省へと移し、各地で転戦を重ねました。

1860年、王徳榜は湘軍の重鎮である左宗棠の部隊に加わり、その指揮下でさらに軍事的な能力を磨きました。彼は江西省、福建省、広東省といった地域で、太平天国の残党である李世賢や汪海洋の軍勢と激戦を繰り広げ、これらの戦いで多くの功績を挙げました。その功績が認められ、1865年には福建按察使、さらに福建布政使へと昇進し、行政官としても頭角を現しました。

1871年、王徳榜は左宗棠に従い、陝西省と甘粛省で発生した回民蜂起の鎮圧作戦に参加しました。彼はこの戦いでも卓越した指揮能力を発揮し、反乱軍の鎮圧に大きく貢献しました。1880年には、新疆と張家口に駐屯し、北方からの脅威に備えました。翌年には北京に入り、軍の近代化に尽力し、火器の教練や水利事業にも携わりました。

1884年、清仏戦争が勃発すると、王徳榜は広西省で兵を募り、ベトナムのランソンに駐屯しました。翌1885年には、鎮南関の戦いで、馮子材とともにフランス軍を打ち破るという大勝利を収めました。この戦いは清朝の士気を大いに高め、王徳榜の軍人としての名声を不動のものとしました。

1889年、王徳榜は貴州布政使に任命され、行政官としての職務を全うしましたが、在職中に病のため亡くなりました。王徳榜の生涯は、太平天国の乱、回民蜂起、清仏戦争という清朝末期の動乱期を、軍人として、また行政官として、その才能を発揮し、激動の時代を駆け抜けた人物でした。

王徳榜の活躍は、清史稿にも記録されており、後世に語り継がれています。彼の卓越した軍事的能力と行政手腕は、清朝末期の混乱の中で、重要な役割を果たしたと言えるでしょう。

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