王徳禄

王徳禄：激動の時代を生きた武将

王徳禄（おう とくろく、1193年 - 1224年）は、金朝末期からモンゴル帝国初期にかけて生きた人物です。彼は激動の時代において、その武勇と人柄で存在感を示しました。

生涯

王徳禄は、現在の北京一帯にあたる興中府の農家に生まれました。成長した彼は金朝に仕え、1213年には騎兵を率いて錦州の将・王守玉とともに東平に駐屯しました。しかし、当時の華北はモンゴル軍の侵攻によって荒廃し、各地にモンゴルに帰順する漢人世侯が現れる状況でした。

1221年、王徳禄は東平一帯を支配していた厳実に降伏しました。王徳禄は温厚な人柄と戦場での勇敢さで知られており、厳実の配下でその能力を発揮し、功績によって同知兗州軍州事に任じられました。

しかし、その活躍も長くは続きませんでした。1224年5月15日、南宋の将・彭義斌との戦いにおいて、王徳禄は32歳という若さで戦死しました。彼の遺体は、娘婿である張浜寿によって埋葬されたと伝えられています。

史料における王徳禄

王徳禄は『元史』に正式な列伝はありませんが、『遺山先生文集』巻30に収録された「兗州同知五翼総領王公墓銘」によって、その事績を知ることができます。『新元史』には、この墓銘を基にした列伝が記されています。このことから、王徳禄は当時それなりの名声を得ていた人物であったと考えられます。

人物像

王徳禄は、戦乱の時代において、武将としての能力を発揮しながらも、温厚な人柄で周囲からの信頼を集めた人物であったと考えられます。モンゴルに帰順後も要職を任されていることからも、その人柄と能力の高さがうかがえます。

まとめ

王徳禄は、金朝末期からモンゴル帝国初期という激動の時代を駆け抜けた武将でした。短い生涯ではありましたが、その武勇と人柄で歴史に名を刻みました。彼の事績は、当時の社会情勢や人々の生き方を考察する上で貴重な資料と言えるでしょう。


参考文献

『新元史』巻137列伝34王徳禄伝
『遺山先生文集』巻30兗州同知五翼総領王公墓銘

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