王濛 (東晋)

王濛（おう もう）

王濛（309年 - 347年）は、中国東晋時代の人物で、哀帝の皇后である王穆之の父として歴史に名を残しています。字は仲祖、本貫は太原郡晋陽県。

生涯

新淦県令の王訥の子として生まれた王濛は、若い頃はその奔放な性格で知られていました。しかし、後に自らを律し学問に励んだことで、その風流な人柄と名声は広く知られるようになり、多くの人々から敬愛される存在となりました。

王濛は容姿にも恵まれており、自らの姿を鏡に映して「王文開がこのような子を生むとは」と感嘆したという逸話が残っています。彼は財産を人々に分け与え、自らは清貧な生活を送りました。ある時、頭巾が破れたため市場で新しいものを探していると、彼の美貌に惹かれた老婆が新しい頭巾を贈ったと伝えられています。当時の人々は彼を達人とみなし、劉惔との友情は特に有名で、劉惔は荀奉倩に、王濛は袁曜卿に喩えられ、時代の寵児として名を馳せました。

司徒の王導に才能を認められ、その下で働くことになった王濛。王導が匡術の弟である匡孝を召し抱えようとした際には、「小人を用いてはならない」と進言したとされています。その後、長山県令に任じられ地方へ赴任しましたが、再び王導に請われ司徒左西属となりますが、これを固辞しました。その後、中書郎に転じています。

会稽王司馬昱が政治の実権を握ると、王濛は司徒左長史に任じられ、重用されました。晩年には東陽郡太守の職を望みましたが、許可されませんでした。病に倒れた王濛は、司馬昱を恨み「癡（愚か者）」と罵ったと伝えられています。病状が悪化するにつれ、灯りの下で麈尾を回し、それを見つめながら「この（美しい麈尾の）ような人（自分）はきっと40まで生きられまい」と嘆いたとされています。

永和3年（347年）、王濛は39歳という若さでこの世を去りました。彼の死を悼み、劉惔は取っ手が犀の角で造られた麈尾を棺の中に置くと、いつまでも慟哭し続けたと伝えられています。

子女

王修（字は敬仁、中軍司馬、『賢全論』を著す）
王蘊（字は叔仁、孝武定皇后の父）
王穆之（哀靖皇后）

伝記資料

『晋書』巻93 列伝第63

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