王神愛

王神愛（おう しんあい）は、東晋の安帝の皇后であり、その生涯は激動の時代を反映しています。彼女は、書道の大家として名高い王献之と、簡文帝の娘である司馬道福の間に生まれました。自身も書家としての才能を持っていたと伝えられています。

太元21年（396年）7月、王神愛は皇太子であった司馬徳宗（後の安帝）に嫁ぎ、太子妃となりました。安帝が即位すると、彼女は皇后に立てられます。しかし、安帝は重度の知能障害があり、自らの意思を示すことができなかったとされています。夫婦の間には子供はいませんでした。

元興2年（403年）、桓玄が帝位を簒奪すると、安帝は平固王に落とされ、王神愛も平固王妃へと降格されました。しかし、翌元興3年（404年）に桓玄が殺害されると、安帝と王神愛は共に復位を果たします。この一連の出来事は、当時の政治情勢の不安定さを物語っています。

義熙8年8月庚戌（412年10月3日）、王神愛は徽音殿で崩御しました。彼女の死後、「僖」と諡（おくりな）されました。王神愛の生涯は、皇后としての栄華と、政変による降格、そして復位という波乱に満ちたものであり、東晋の歴史を語る上で欠かせない人物の一人と言えるでしょう。

彼女の伝記は、『晋書』巻32 列伝第2 后妃下、巻80 列伝第50、巻10 帝紀第10に詳しい記述があります。これらの資料から、彼女の生涯や当時の社会情勢をより深く知ることができます。

王神愛は、単なる皇后というだけでなく、書家としての才能を持ち、激動の時代を生き抜いた女性として、歴史に名を残しています。

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