義熙

義熙（ぎき）

義熙は、東晋の安帝司馬徳宗の治世で使用された元号で、405年から418年までの期間を指します。この時代は、東晋国内の政治的な変動と、その中で台頭した劉裕の活躍が際立っています。

義熙年間の出来事

義熙年間には、以下のような出来事がありました。

義熙元年（405年）: 元号が「義熙」に改元されました。しかし、同年に譙縦の兵乱が発生し、蜀の地を失うことになります。その後、安帝が建康に帰還し、劉裕が侍中・車騎将軍・都督中外諸軍事となり、朝廷の実権を掌握しました。
義熙3年（407年）: 譙縦に対する平定が試みられましたが、失敗に終わります。
義熙5年（409年）: 劉裕が南燕に出兵し、勢力拡大を図ります。
義熙6年（410年）: 広州で盧循が再び反乱を起こしますが、劉裕は南燕を滅ぼし、山東を東晋の版図に組み込みます。盧循軍が建康に迫る事態も発生しましたが、劉裕がこれを撃破しました。また、江陵を侵した桓謙が敗死し、桓氏の勢力は衰退しました。
義熙7年（411年）: 劉裕が太尉・中書監を兼ね、さらに権力を集中させます。交州に逃れた盧循が敗死し、孫恩・盧循の乱が完全に鎮圧されました。
義熙8年（412年）: 司馬休之が平西将軍となり西府軍を領しますが、後に劉裕によって討滅されます。
義熙9年（413年）: 九真郡を侵した林邑の范胡達が討たれ、土断が施行されました。また、益州の譙縦を掃討し、蜀の地を平定します。
義熙11年（415年）: 司馬休之が後秦に亡命し、東晋国内における劉裕の対立勢力が一掃されました。
義熙12年（416年）: 劉裕が後秦に出兵し、北伐を開始します。
義熙13年（417年）: 後秦を滅ぼし、100年ぶりに長安を奪回するという大きな軍事的成果を挙げました。しかし、劉裕はすぐに長安を離れ帰還します。
義熙14年（418年）: 長安に駐屯した東晋軍が紛乱を起こし、夏の赫連勃勃が長安を奪取します。劉裕は相国・宋公に封じられ、九錫の命を受けました。同年、安帝が崩御し（劉裕により縊死させられたとも）、恭帝司馬徳文が即位しました。

義熙年間は、劉裕の台頭と東晋の衰退が同時に進行した時代であり、彼の軍事的な成功と政治的な権力掌握が、後の宋王朝成立へと繋がっていきます。

元号対照表

西暦との対照表は省略
他元号との対照表は省略

参考文献

『中国歴代年号考』李崇智（中華書局 2004年）

関連項目

* 元号一覧 (中国)

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