王立航空協会

王立航空協会 (Royal Aeronautical Society: RAeS)

王立航空協会は、1866年に「イギリス航空協会」として設立された、世界で最も古い航空学術団体です。航空技術に関する研究、知識の普及、専門家の育成を目的として活動しています。略称はRAeSで、会員にはFRAeS、CRAeSの称号が付与されます。

歴史

1866年1月、イギリス航空協会として産声を上げました。設立当初からのメンバーには、気球による高度記録を樹立したジェームズ・グレーシャー、有人飛行に関する先駆的な論文を著した技術者フランシス・ウェナム、第8代アーガイル公爵ジョージ・キャンベル、ゴム動力の羽ばたき機模型を製作したフレデリック・ブレアリーらが名を連ねています。

初年度は65名の会員でスタートしましたが、3年後には106名に増加。定期刊行物の発行や、1868年にはロンドンの水晶宮で大規模な博覧会を開催するなど、活動を活発化させました。この博覧会では、ジョン・ストリングフェローによる蒸気機関駆動の三葉模型飛行機の公開飛行も行われました。さらに、1870年から1871年にかけては、ウェナムとブラウニングによる初期の風洞実験を支援しました。

1918年には、名称を現在の王立航空協会に変更。1923年には、協会誌のタイトルを"Aeronautical Journal"から"Journal of the Royal Aeronautical Society"へと改め、1927年には"Institution of Aeronautical Engineers Journal"を統合しました。

1940年には、戦時中の航空機産業の拡大に対応するため、技術部門を設立し、他分野から航空機設計に携わる技術者への技術支援を行いました。この部門は後に独立し、Engineering Sciences Data Unit (ESDU) となりました。

賞

王立航空協会は、航空分野における優れた業績を称えるため、ゴールドメダルやシルバーメダルなどの賞を授与しています。特に王立航空協会ゴールドメダルは、1909年のライト兄弟、1910年のオクターヴ・シャヌート、1945年のフランク・ホイットル、1959年のマルセル・ダッソー、2012年のイーロン・マスクなど、航空史に名を残す著名な人物が受賞しています。

会長

歴代の会長には、以下の人物が名を連ねています。

1886-95: 第8代アーガイル公爵ジョージ・キャンベル
1908–11: エドワード・パーキス・フロスト
1927-30: ウィリアム・フォーブス＝センピル
1930–34: チャールズ・フェアリー
1934–36: ジョン・ムーア＝ブラバゾン
1954–55: シドニー・カム

出版物

王立航空協会は、以下の定期刊行物を発行しています。

The Journal of the Royal Aeronautical Society: ISSN 0368-3931 (1923–1967)
The Aeronautical Quarterly: (1949-1983)
Aerospace: (1969-1997)
Aerospace International: ISSN 1467-5072 (1997 - 2013)
The Aerospace Professional: (1998 - 2013)
The Aeronautical Journal: ISSN 0001-9240 (1897 to date)
The Journal of Aeronautical History: (2011 to date)
AEROSPACE: ISSN 2052-451X (2013 to date)

王立航空協会は、150年以上にわたり、航空技術の進歩と発展に大きく貢献してきた歴史ある団体です。学術的な研究発表の場を提供するとともに、航空分野の発展に寄与する人材育成にも力を入れています。

もう一度検索