現代人 (映画)

『現代人』は、渋谷実監督による1952年公開の日本映画で、戦後社会の官僚組織における腐敗を描いた社会派ドラマです。主演は池部良が務めました。

あらすじ

物語は、国土省建設局管理課長の荻野守利を中心に展開します。彼は病気の妻を抱えながら、銀座のホステスと愛人関係にあります。妻の療養費と愛人との生活費を工面するため、荻野は土木会社経営者の岩光正男に誘われ、部下と共に汚職に手を染めていきます。良心の呵責にさいなまれ、部下の異動を機に不正から抜け出そうと決意する荻野でしたが、皮肉にもアプレ青年の小田切徹が後任として配属されたことで、彼はさらに深い闇へと引きずり込まれていくことになります。

キャスト

小田切徹：池部良
荻野泉：小林トシ子
荻野守利：山村聡
マダム品子：山田五十鈴
岩光正男：多々良純
三好：伊達信
検事：芦田伸介
荻野靜：高野由美
文野朋子
宗藤本の芸者：望月優子
小田切の父：山路義人
小田切の兄：安部徹
入札業者：奈良真養
入札業者：諸角啓二郎
長尾敏之助
遠山文雄
入札業者：永井達郎
川村禾門
萩野家の婆や：高松栄子
紅沢葉子
小田切の母：水上令子

作品の背景

主演の池部良は当時東宝の看板俳優でしたが、本作への出演は五社協定に反するものでした。しかし、池部自身はこの映画への参加が俳優としてのプロ意識を確立する転機になったと語っており、彼にとって非常に重要な作品であったことが伺えます。ただし、五社協定が実際に成立したのは映画公開の翌年である1953年です。

『現代人』は、1953年のカンヌ国際映画祭で上映され、国際的にも評価されました。戦後の日本社会における官僚の腐敗や、社会の矛盾を鋭く描いた作品として、今なお評価されています。

外部リンク

現代人 - allcinema
現代人 - MOVIE WALKER PRESS
現代人 - IMDb（英語）

もう一度検索