琴浦発電所

琴浦発電所の歴史と特徴

琴浦発電所（ことのうらはつでんしょ）は、和歌山県和歌山市に存在した石炭火力発電所で、1922年から1959年まで稼働しました。発電所は和歌山水力電気によって計画され、京阪電気鉄道によって建設されました。その後、さまざまな電力会社を経て、最後には関西電力の管轄下に置かれました。この発電所の最大出力は1万6350キロワットであり、当時の電力事情に大きく貢献しました。

発電所の設立当初

この発電所の成立背景には、明治末期から大正時代にかけての電力需要の急増があります。第一次世界大戦の影響で電力不足が深刻化する中、和歌山水力電気は水力発電所が完成するまでの間、火力発電所の設立を決定しました。1920年12月に工事が始まり、1922年12月22日には発電所が竣工しました。最初の出力は5000キロワットでした。その後、京阪電気鉄道に合併されることになります。

逐次的な設備拡張

発電所の稼働後も電力の需要は増加し続け、1925年には更なる設備の増設が行われ、1926年に新たな発電能力が追加されました。発電機の数が増え、タービン発電機の出力も強化され、1928年にはボイラー容量が拡大されました。結果、出力は徐々に1万2000キロワット、最終的には1万6350キロワットにまで達しました。

また、様々な企業がこの発電所の運営に関与しました。1930年には京阪電気鉄道から合同電気に移管され、1937年に合同電気が親会社である東邦電力に合併されたため、その運営も引き継がれました。その後、1942年には日本発送電の管理下に置かれることになり、さらに太平洋戦争中には発電機の一部が譲渡されるなど、経営も変動に富んだものでした。

戦後の再編成

戦後は電気事業の再編が進み、1951年には日本発送電から関西電力へ移管されましたが、世代交代の波には逆らえず、1959年には琴浦発電所が廃止されました。

設備の詳細

琴浦発電所の主要な設備は以下の通りです：

• - ボイラー: 8缶、バブコック・アンド・ウィルコックス製。
• - 蒸気タービン:

- 周波数50ヘルツ: 7500馬力1台（ブラウン・ボベリ製）
- 周波数60ヘルツ: 1万馬力2台（三菱神戸造船所製）

• - 発電機:

- 周波数50ヘルツ: 5000キロワット1台（ブラウン・ボベリ製）
- 周波数60ヘルツ: 7000キロワット2台（三菱電機製）

発電所は50ヘルツと60ヘルツの両方の発電を行っており、60ヘルツの発電機の増設に際しては、周波数変換器が設置されることで、より効率的な運営がなされました。

このように、琴浦発電所は歴史的にも技術的にも意義深い場所であり、和歌山県の電力供給の一翼を担っていました。

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