瑞雲 (航空機)

瑞雲（ずいうん）

瑞雲は、愛知航空機が開発した大日本帝国海軍の水上偵察機で、機体略番はE16A、連合国によるコードネームは“Paul”（ポール）です。この機体は、艦載機能を兼ね備えた水上偵察機として、その能力を高く評価されました。

開発の背景

日本海軍は、優れた航空兵力の確保を目指す中で、十二試二座水上偵察機の計画を立て、爆撃機と偵察機の機能を統合することを志向しました。この計画では、250キロの爆弾を搭載し、急降下して攻撃することができる機体が求められました。特に、敵艦への効果的な攻撃を可能にする水上急降下爆撃機の開発は、米国との空中戦での劣勢を覆すための重要な鍵と考えられていました。

1940年2月、愛知航空機は試作の指示を受け、最大速度250kt以上、航続力2,500km以上という厳しいスペックが決められました。この要求に応える形で、開発が進められることになり、1942年3月には試作機の完成まで至りました。性能試験の結果、1943年8月に瑞雲一一型として正式に採用されました。

機体の設計と機能

瑞雲の特徴は、その機体構造に見られます。超々ジュラルミンを使用し、胴体や主翼は軽量化されており、これにより高い速度性能を実現しました。特に、急降下爆撃用のダイブブレーキは世界初の設計であり、独自の一枚板による開閉方式を採用しています。また、主翼には空戦フラップが装備され、急降下爆撃機でありながら戦闘機の役割も果たすことを可能としています。

量産型では、エンジンの強化や武装の改良も施されており、急降下中の安全性向上のためにダイブブレーキへの改修も行われました。瑞雲はその性能と攻撃力から、当時の水上機としては傑作とされる機体です。

運用と戦歴

1944年春から部隊への配属が始まり、フィリピンでの夜間爆撃などに使用されました。魚雷艇攻撃では一定の成功を収めており、沖縄戦でも活躍しましたが、その後の戦況悪化により水上機としての出動機会は減少しました。

第六三四航空隊に配備されていた側面では、戦艦伊勢・日向に搭載され、訓練を受けていました。実戦参加前にフィリピンへ転出したものの、偵察活動や夜襲任務を遂行し、通常攻撃による成果を上げた数少ない例として名を残しています。

総生産数は約220機で、大部分は一一型でした。1945年にはエンジンを改良した一二型が試作されましたが、現存機はありません。しかし、フィリピン沖ではいくつかの機体が沈んでいることが確認されています。

スペック

• - 全長: 10.84 m
• - 全幅: 12.80 m
• - 全高: 4.74 m
• - 主翼面積: 28.00 m²
• - 空虚重量: 2,945 kg
• - 全装備重量: 3,800 kg
• - エンジン: 三菱金星五四型 (1,300 hp)
• - 最高速度: 448 km/h
• - 計上速度: 333 km/h
• - 航続距離: 2,535 km
• - 実用上昇限度: 10,280 m
• - 武装: 20 mm機関砲×2、7.7 mmまたは13 mm旋回機銃、60 kgまたは250 kg爆弾
• - 乗員: 2名

登場メディア

瑞雲は『Naval Creed: Warships』や『艦隊これくしょん – 艦これ –』などのゲームに登場しており、特に艦娘の装備としてのバリエーションが存在します。また、2017年には実物大模型が富士急ハイランドで展示され、人気を博しました。

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