環状4号線 (横浜市)

横浜国際港都建設計画道路 環状4号線

横浜市の幹線道路網を構成する重要な要素であり、市域の最も外側を巡る環状道路が環状4号線です。「環4」とも略されます。この道路は、横浜国際港都建設計画道路3・4・3号環状4号線として都市計画決定されており、環状2号線、環状3号線と共に市の「3環状10放射道路ネットワーク」の一部を成しています。そのルートは、金沢区から栄区、戸塚区、泉区、瀬谷区、緑区を経て青葉区に至る長大なもので、ごく一部の区間は鎌倉市内も通過します。道路法上の扱いとしては、神奈川県道23号原宿六ツ浦線の一部や、横浜市道環状4号線として主要地方道にも指定されており、特に主要地方道18号の番号が付与されている区間もあります。

整備と機能

長らく市域を縦断する主要道路として機能してきましたが、全体の環状機能は一部未整備区間などにより十分に発揮されていませんでした。特に、神奈川県道23号の区間や、後に詳述する「海軍道路」、緑区十日市場から青葉区鉄町にかけての区間など、幅員が狭い箇所が存在したことが、市域を南北に結ぶ外郭環状道路としての真価を発揮する上での制約となっていました。

しかし、整備は着実に進められています。例えば、2006年3月には戸塚区深谷町から泉区下飯田町にかけての区間が開通し、これにより西側外郭部での環状機能が高まり、周辺道路の混雑緩和に寄与しました。横浜市はこれらの課題を解消するため、栄区内（上郷 - 公田間）と瀬谷区内（上瀬谷通信施設内）の区間を優先的に整備することを決定しました。

栄区内の環状4号線約1.16km（本郷小学校前交差点から公田・桂町交差点を経由し鎌倉市境に至る区間）では、1994年からの事業により拡幅整備が進められました。2009年7月には公田交差点以西が、そして2015年11月には残る全区間が4車線化を完了し、円滑な交通が確保されています。

一方、瀬谷区の上瀬谷通信施設内の環状4号線予定地は、長らく在日米軍の接収区域でした。横浜市は道路整備のため、2009年2月に防衛省へ日米地位協定に基づく共同使用の申請を行い、2011年8月の日米合同委員会での合意を経て、整備事業に着手しました。2012年度から2015年度にかけて工事が進められ、2016年3月28日に開通に至りました。なお、この通信施設を含む周辺地域は、2015年6月に日本へ返還されています。

通過エリアと主要交差・接続道路

環状4号線は、前述の通り金沢区から青葉区に至る広範なエリアを通過します。主な通過地としては、横浜横須賀道路朝比奈IC付近（金沢区）、栄区、一部鎌倉市、戸塚区（原宿）、泉区（下飯田駅、ゆめが丘駅、いずみ中央駅周辺）、瀬谷区（瀬谷駅周辺、旧上瀬谷通信施設周辺）、緑区（十日市場、十日市場駅周辺）、青葉区（青葉台駅、鉄町）などがあります。

主要な道路との接続も多く、特に戸塚区の原宿交差点では国道1号と交差します。原宿交差点では長年慢性的な渋滞が発生していましたが、2010年12月には立体交差化が完了し、大幅に改善されました。また、瀬谷区の瀬谷駅付近では、2005年4月に相鉄本線を跨ぐ跨線橋が開通しています（将来的には相鉄線の地下化計画も存在）。その他、神奈川県道22号（長後街道）、神奈川県道45号（中原街道）、神奈川県道40号（厚木街道）、国道16号（立体交差により周辺道路経由で接続）、神奈川県道12号（終点付近）など、多くの幹線道路と接続しています。

別名を持つ区間

環状4号線の一部区間には、地域で広く知られる愛称があります。

海軍道路: 瀬谷区の瀬谷中学校前交差点から旧国道16号に至る、旧上瀬谷通信施設の西側を通過する直線区間です。市内でも有数の長距離直線道路として知られています。戦時中に旧日本海軍の補給廠が設けられ、瀬谷駅から専用線が敷設されていた歴史を持ちます。沿道の桜並木は非常に有名で、春には多くの人が訪れます。この区間も環状4号線の未開通区間の一つでしたが、2016年3月の上瀬谷地区開通により環状4号線の一部となりました。これに伴い、海軍道路分岐交差点が設置され、一部のソメイヨシノが伐採されました。街灯は設置されていますが、軍事施設近傍のため一部夜間消灯区間があります。横浜市は桜並木の保全と将来に向けた計画を進めており、特に2027年の国際園芸博覧会開催（旧上瀬谷通信隊跡地）に合わせて、桜の植え替えや品種増加（約40品種、600本以上）を計画しています。花博建設工事に伴い、2024年12月には道路の付け替えが行われ、桜並木脇を通る区間が約半分になりました。
産業道路: 泉区から瀬谷区にかけての日向山団地中央交差点から泉区の中和田南小学校入口付近までの区間です。この名称は地域住民が使用している俗称です。昭和初期に当時の鎌倉郡中和田村が、農作業車両や物資運搬のために村内を通るこの区間を拡幅整備したことに由来すると言われています。この産業道路区間には、「たつ道」という別の別称もあり、これは新田義貞の鎌倉攻めの際に通った道であるという伝承に基づくものです。

横浜市の発展に伴う交通需要の増加に対応するため、環状4号線は幹線道路ネットワークの重要な骨格として、今後もその機能強化と利便性の向上への期待が寄せられています。

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