瓜連町

瓜連町（うりづらまち）

瓜連町は、かつて茨城県那珂郡に属していた自治体です。2005年1月21日に隣接する那珂町に編入合併され、同日施行された市制により、現在は那珂市の一部となっています。久慈川の下流域に位置し、豊かな自然に恵まれた地域でした。

地理

町の主要な河川としては、北西側に沿って流れる一級河川の久慈川と、町域を南北に貫く玉川がありました。また、古徳溜池や静溜池といった湖沼も点在し、地域の風景の一部を形成していました。合併前の時点で、瓜連町は北西に常陸大宮市、北東に常陸太田市、そして南側を那珂町（現在の那珂市）に隣接していました。

歴史

瓜連村としての歴史は、1889年（明治22年）4月1日に町村制が施行されたことに始まります。那珂郡に属する一つの村として発足しました。大正時代に入ると、1918年（大正7年）6月12日には水郡線に瓜連駅が開業し、鉄道による交通の便が飛躍的に向上しました。この駅開業は、地域の発展に大きな影響を与えたと考えられます。そして、昭和時代には、1934年（昭和9年）6月10日に町制を施行し、瓜連村から瓜連町へと移行しました。戦後の高度経済成長期に入る前、1953年（昭和28年）5月18日には主要幹線道路である国道118号が制定され、道路交通網も整備されていきます。昭和の大合併期にあたる1955年（昭和30年）3月31日には、旧瓜連町と、那珂郡静村の一部（静、下大賀の区域）が合併し、新たな瓜連町が発足しました。この合併により、町域が一部拡大されました。その後、平成時代に入り、1999年（平成11年）6月1日には、隣接する那珂郡大宮町（現在の常陸大宮市）との間で境界の一部変更が行われています。そして、2005年（平成17年）1月21日、那珂郡那珂町に編入合併され、その日をもって町としての歴史を終え、新たに市制を施行した那珂市の一部となりました。

地域と特徴

教育機関としては、瓜連町立瓜連小学校および瓜連町立瓜連中学校が設置されていました。町域の規模に関して特筆すべき点として、平成の大合併が本格化する以前の時期において、瓜連町は茨城県内に存在した自治体の中で最も面積が小さいという特徴がありました。商業施設については、広範囲に展開するような大規模なチェーン店などは少なく、主に幹線道路である国道118号沿いに数軒のコンビニエンスストアが見られる程度でした。しかし、那珂市への合併後、町の中心部から少し離れた国道118号沿いにスーパーマーケットのチェーン店が開業し、住民の買い物の利便性が向上しています。

交通

道路網としては、前述の国道118号が町の主要な幹線道路であり、南北に縦断していました。また、主要地方道として茨城県道31号瓜連馬渡線、茨城県道61号日立笠間線が、一般県道として茨城県道104号那珂瓜連線、茨城県道168号静常陸大宮線、茨城県道317号瓜連停車場線などが町内を通っていました。鉄道は、東日本旅客鉄道（JR東日本）の水郡線が町内を通過しており、瓜連駅と静駅の二つの駅が利用可能でした。バス交通についても、茨城交通による運行があり、新宿・東京方面への高速バス路線や、水戸駅と大宮営業所を結ぶ路線バスなどが利用されていました。

瓜連城跡

地域の歴史を語る上で欠かせないのが、瓜連城の存在です。この城は、地域の住民にとって心の拠り所ともなっている常福寺の境内とその周辺に遺構が残されています。伝承によれば、瓜連城は建武3年・延元元年（1336年）に楠木正家によって築かれたとされています。城は、南西側に広がる久慈川沿いの低地を見下ろすことができる、台地の北端部に築かれており、戦略的に重要な位置を占めていました。現在、常福寺の境内全体が一帯が瓜連城跡とされており、特に隣接する保育園の北東側には、城の遺構が比較的良好な状態で残されています。残されている遺構から推測すると、広大な郭を一つ持つ単郭の城であったと考えられています。保育園の裏手からは南北方向に伸びる空堀が確認でき、さらに北側の台地中腹から南東方向へ続く横堀が現在もその姿をとどめており、往時の防御構造を偲ばせます。

瓜連町は、短い自治体としての歴史の中で、地理的、歴史的、文化的な特色を有していました。現在は那珂市の一部として、その歴史は引き継がれています。

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