甕城

甕城（おうじょう）について

甕城とは、中国において城郭や関所に見られる特徴的な防御施設の一種です。具体的には、正規の城門の外側（ごく稀に内側）に設けられる防御用の小堡で、通常は半円形または方形の形状をしています。主に、蘇州や南京、西安など歴史ある都市城壁に付属して存在しています。

甕城の構造と機能

甕城は城門の両側に城壁を配置し、これが半円形または四方に広がります。城門には城楼が設けられており、城壁の上には兵士が移動できる通路が設けられ、低い防御壁である女墻によって保護されています。また、甕城の特異な点は、破城槌による攻撃を避けるために、城門が正規の城門と同じ直線上にないようにずらされた配置がなされていることです。

この防御構造がいつ発生したのかについては資料によって意見が分かれていますが、五胡十六国時代の夏の赫連勃勃によって建設された統万城がその原型とされています。前漢から北魏の時代には城門に対して華麗な装飾が求められており、三層の門楼や門前の城闕が設置される一方で、甕城はあまり重視されていませんでした。隋唐時代には長安や洛陽の門前には甕城が築かれていなかったのです。

甕城の発展

五代と北宋の時代に入ると、半円形の甕城が盛んに建設されるようになりました。曾公亮による『武経総要』では、初の甕城に関する詳細な記述が登場し、城外に配置された甕城の特徴が示されています。北宋時代には、東京城（現在の北京）にこの記述に基づいた城が現れ、さらには『東京夢華録』の中で、南薰門や新鄭門など4つの城門が甕城および三層の楼閣を有していることが記されています。

南宋時代には、臨安府などに甕城の建設に関する記録はないものの、静江府では非常に複雑な甕城が見られました。一方、金の中都も東京城のスタイルを模倣して甕城を設けました。

元代においては、漢人の反乱や北方異民族との対策を考慮し、多くの都市で甕城が取り壊され、新たに築かれることはありませんでした。しかし、元代末期に農民の反乱が発生すると、天順帝は大都に甕城を修復し、復元を行いました。

明代の甕城

明代には再び城壁の強化が強調され、南京の応天府を始め、各地の都市や万里の長城の関所に至るまで多くの甕城が建設されました。この中でも特に南京の聚宝門（現在の中華門）は、最も大規模で複雑な形状をしていました。

海外の甕城

中国以外では、李氏朝鮮の主要都市である漢城や水原にも甕城が建設されましたが、こちらの城壁は一方が本城に接続し、もう一方は出入口として開放されている点が中国の構造とは異なっています。また、日本の城郭においては外枡形虎口や馬出が甕城と似た機能を持つものがあります。これらは敵の侵入を防ぐための緩衝地帯として設けられ、射撃による防衛機能を果たします。

西洋の「barbican」も甕城に似た構造を持っていますが、一般的には城門の脇にある門塔や防塞を指すことが多いです。

まとめ

甕城は中国の歴史上において防御の工夫を反映する重要な建築様式であり、その機能や発展過程は多くの城郭術に影響を与えました。

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