甘デジ

甘デジとは

甘デジ（あまデジ）とは、パチンコにおける機種分類の一つで、大当たり確率が比較的高く設定されたデジパチを指す通称です。「甘」という言葉は、大当たり確率が甘い、つまり当たりやすいという意味から来ています。

甘デジの定義

当初、甘デジと呼ばれる大当たり確率の基準にはばらつきがありましたが、2009年現在では、パチンコ雑誌やメーカーなどにおいて、おおむね「大当たり確率が100分の1前後のデジパチ」という定義に収束しつつあります。

ハネデジとの違い

甘デジと似た言葉として「ハネデジ（デジハネ）」がありますが、これは「羽根モノのように当たりやすいローリスクなデジパチ」という意味で名付けられました。しかし、「ハネデジ」という言葉では、羽根モノとデジパチの複合タイプと区別がつきにくいことや、甘デジに分類される機種のほとんどが羽根を持っていないことから、現在では「甘デジ」という言葉がより一般的に使われています。

甘デジの特徴

一般的なデジパチ（ミドルスペック・フルスペック）の大当たり確率が約300〜400分の1であるのに対し、甘デジは約100分の1と、大当たりが非常に引きやすくなっています。しかし、その分、大当たり時に得られる出玉は約3〜5分の1程度に抑えられています。甘デジは、基本的に同一機種のミドルスペックと同時期、または数ヶ月遅れて発売されることが多いです。

メリットと注意点

大当たりしやすいという点は打ち手にとって有利ですが、当たりやすいとはいえ、ミドルスペックと同等、あるいはそれ以上にハマる可能性もあるため、必ずしも「当たりやすい＝勝ちやすい」とは限りません。出玉が少ないため、短時間で遊ぶには適していますが、長時間プレイには注意が必要です。

甘デジの歴史

甘デジ登場前

1980年代に登場し、パチンコ機の主流となったデジパチは、長らく出玉性能に変化がありませんでした。当時は、大当たりしやすい機種として羽根モノが主流であり、低い交換率やラッキーナンバー制といった営業形態から、出玉の少ないデジパチの需要は少なかったのです。一部には「ファンキードクター」（マルホン工業）のような例外的な機種もありましたが、それらは当たりやすさよりも連チャン性が特徴でした。

甘デジの誕生

その後、高交換率や無制限営業が主流となり、出玉の少ない機種が容認されるようになりました。1998年に発売された奥村遊機の現金機「加トちゃんワールド」は、大当たり確率が1/67と、現在の甘デジに近い仕様でした。奥村遊機はその後も「〜ワールド」シリーズを発売していきます。甘デジ仕様のCR機が初めて登場したのは、2003年冬に発表された「CRモグッテお宝T5SS」（奥村遊機）で、大当たり確率は1/79.3でした。当時の規則では、確変突入率が50%以下に制限されていたため、100%・5回転限定のSTを搭載して連チャン性を補っていました。

本格的な普及

2004年の規則変更により、確変突入率などの規制が緩和され、甘デジに参入するメーカーが増加しました。2005年にはニューギン・平和・三洋物産、2006年にはSANKYO・京楽産業.などが甘デジスペックの機種を発表しました。また、この頃には、1/100前後の大当たり確率を持つ機種に愛称をつけるメーカーも現れ、サミーが「デジハネ」、奥村遊機が「楽パチ」という愛称を使用していました。メーカーで初めて「甘デジ」という愛称を用いたのは、平和の「CRサバンナキングPJ」です。平和は「甘デジ」を商標登録しなかったため、「甘デジ」という言葉が1/100前後の大当たり確率を持つスペックの通称として広く使われるようになりました。

近年の動向

最近では、ミドルスペック並みの出玉（約1000〜1500個）が得られる割合を高める代わりに、大当たり確率を1/100よりもやや低く設定した機種も登場しています。例えば、「CRA叶姉妹危機一髪！」（オリンピア、大当たり確率1/118.4）や「CRA新お天気スタジオ」（平和、大当たり確率1/135.7）などが挙げられます。

甘デジの商標について

タイヨーエレックは2006年に「甘デジ」を商標出願しましたが、特許庁に拒絶されました。特許庁は、スポーツ紙やウィキペディア日本語版、Yahoo!知恵袋などの使用例を挙げ、「甘デジ」という言葉が「大当たり確率が甘い機種」という意味で広く使用されていると判断し、商標法第3条1項3号の「商品の品質を表示する標章」にあたるとして、出願を却下しました。

まとめ

甘デジは、大当たり確率が高く、初心者でも比較的気軽に楽しめるパチンコ機種です。しかし、当たりやすい反面、出玉が少ないため、勝ちやすいとは限りません。遊ぶ際には、その特徴を理解した上で、計画的に楽しむようにしましょう。

甘デジ