甘利俊一の概要
甘利俊一(あまり しゅんいち、
1936年1月3日生まれ)は、日本の
工学者であり、神経科学者として広く知られています。彼は
文化勲章を受章し、
東京大学において
名誉教授の地位を持つほか、
理化学研究所の栄誉研究員として活躍しています。彼の研究領域は数理神経科学に及び、学習理論や自己組織化理論、連想記憶、神経場理論など多岐にわたります。これにより、数理脳科学の基礎を構築しました。また、情報幾何学の創始者としての評価も高いです。
生い立ち
甘利は
東京府目黒区で生を受け、父親は海軍で研究に従事していました。幼少期には、戦時中に山梨や栃木への
疎開を経験しました。学業においては、日本学園中学校と東京都立戸山高校を経て、
1958年に
東京大学工学部応用物理学科を卒業しました。その後、
1963年に「情報空間の刻接」という論文で工学博士を取得しました。
職歴と受賞歴
甘利は
九州大学工学部で
助教授として教職をスタートさせ、その後、
マサチューセッツ大学で
客員研究員としての経験を積みました。
東京大学工学部計数工学科では
教授職を務め、
理化学研究所においては
脳科学総合研究センターのセンター長に就任しました。さらに、
2012年には
文化功労者の称号を受け、
2019年に
文化勲章を授与されました。
研究の業績
甘利の研究は、連続体力学、
情報理論、
ニューラルネットワークなどを含んでいます。特に
1967年には、多層パーセプトロンの
確率的勾配降下法を提唱しました。これは当初あまり注目されませんでしたが、
1986年に他の研究者たちによって誤差逆伝播法として再発表され、
ニューラルネットワーク研究の注目を浴びるきっかけとなりました。この研究はその後の
ディープラーニングのブームにも影響を与えました。
さらに、
微分幾何学を利用して
確率分布を解析し、情報幾何学という独自の分野を確立しました。これは
統計学と
純粋数学の融合を目指したもので、初めは批判を受けることも多かったですが、次第に理論的な支持を得ていくこととなります。
人物像
甘利の学生時代は、
反戦運動にも積極的に参加し、自治会の委員長を務めるなど、社会的な活動にも関与していました。また、趣味としている
囲碁ではアマ六段の腕前を誇り、
日本棋院囲碁大使に任命されています。彼の人生は学問だけでなく、社会に対する貢献や趣味を通じても豊かなものでした。
結び
甘利俊一の業績や貢献は、現在の数理脳科学の発展に多大な影響を与えています。彼の研究は、今後も多くの科学者にとっての指針となり続けることでしょう。