甘露寺藤長

甘露寺 藤長について

甘露寺 藤長（かんろじ ふじなが）は、鎌倉時代末期から南北朝時代にかけて重要な役割を果たした公卿です。彼は藤原北家勧修寺流吉田家に属し、権中納言・吉田隆長の三男として生まれました。藤長は、官位を正二位、権中納言まで昇進し、甘露寺家の初代としてその名を広めました。

経歴

藤長の人生は、建武の新政が崩壊した1336年に大きな転機を迎えます。この年、彼の伯父である吉田定房は後醍醐天皇と共に逃れたため、藤長は実父の隆長と共に京に留まり、北朝方に仕官する決断をしました。以降、彼は蔵人頭や山城権守、さらには造興福寺長官などを経て、1345年に参議に任命されます。

1348年には権中納言に昇進し、1360年には正二位に到達しましたが、急性の疫病が流行したことで、1361年に43歳の若さで亡くなりました。

権中納言に上昇した際、彼は同族の吉田国俊が同時に権中納言になる事態を受け、家名の譲渡を決意します。これにより、自身は「甘露寺」を名乗り、国俊に「吉田」の名を譲ったのです。この名称変更は、当時南朝に仕えていた伯父の定房やその子・宗房との家系の地位をめぐる競争を反映しており、自身の意志を強く示す結果となりました。

政治的影響

藤長は建武の時期において雑訴決断所のメンバーとしても知られており、北朝の政務機関の中で雑訴沙汰に対する処理に関与していました。これにより、彼は権力の中心に近い位置で活動することができ、多くの国政に関する重要な決定に携わりました。

系譜

藤長の家族については詳細が不明な部分も多いですが、彼の父は吉田隆長であり、母は不詳であるとされます。藤長の子女には、男子が二人存在し、甘露寺良藤と甘露寺兼長が名を残しています。また、彼には女子が一人おり、万里小路嗣房に嫁いでいます。藤長の直系の子孫は甘露寺家となり、結果として吉田定房が属する流れを超え、勧修寺流の嫡流としての地位を確立したのです。

まとめ

甘露寺藤長は、彼自身の家名だけでなく、彼の存在が吉田家全体の力を強化し、後の世代に影響を与えた人物です。慶長年間の流動的な政局の中で、彼の業績は日本の歴史において重要な位置を占めており、その詳細な歴史は今もなお研究が続けられています。

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