甘露寺兼長

甘露寺 兼長について

甘露寺兼長（かんろじ かねなが）は、南北朝時代から室町時代初期にかけての公卿であり、歴史の中で重要な位置を占めた人物です。彼は、公卿の家系である甘露寺藤長の子として生まれ、華々しい経歴を持つことになります。

生涯の概要

貞治3年（1364年）1月5日、わずか8歳のときに従五位上という官位に叙せられ、官界でのキャリアがスタートしました。応安7年（1374年）には左兵衛佐としての職を得、さらに正五位下に上昇します。その後、永和4年（1378年）には右少弁に任命され、康暦元年（1379年）には正五位上に昇進し、再び重要な役割を果たすことになります。

しかし、彼のキャリアの中でも特筆すべきは、蔵人頭（天皇の側近として仕える役職）になったことです。永徳2年（1382年）には、後小松天皇即位の初期に蔵人頭に任命され、従四位上に上がることになります。この時期に、彼は足利義満の家司にもなり、義満の内大臣任命における重要な行事の役割を担うなど、政治的な影響力を高めていきました。

成功と昇進

続く永徳3年（1383年）には、右兵衛督を兼任し、その後の昇進は急速でした。権左中弁から一気に左大弁に昇進し、近江権守も兼任。11月15日に、従三位に昇叙されることになりました。その後も、至徳3年（1386年）には正三位、同年8月27日には権中納言に昇進し、さらに明徳3年（1392年）までこの地位にとどまります。

明徳4年（1393年）1月には従二位となり、応永8年（1401年）には正二位に叙されますが、その後は長い間散位に止まることとなりました。しかし、応永16年（1409年）7月23日には53歳で権大納言に任命され、父や祖父を超える官位を手に入れます。

晩年と功績

晩年には、応永18年（1411年）に権大納言を辞し、その後も後小松院の院司として活動を続けました。また、彼の功績が評価される形で、応永29年（1422年）には死の前日である2月7日に従一位に叙せられます。彼の公務の生涯は、時代の動乱においても安定をもたらすものとなりました。

家族と系譜

甘露寺兼長の家族構成についても注目が集まります。父は甘露寺藤長、母は不詳ですが、妻には日野時光の娘がいます。子供には男子が4人、女子が1人おり、男子の中には甘露寺清長や甘露寺房長、兼覚、万里小路豊房などが名を連ねています。特に娘の甘露寺経子は後小松天皇の典侍として仕えたことでも知られています。

このように、甘露寺兼長はその生涯を通じて、数々の官位を歴任し、政治的な影響力を持つ存在でした。また、彼の家系や子孫もその後の公卿社会において重要な役割を果たしていきます。彼の業績は今もなお、歴史の中で語り継がれています。

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