生きものばんざい

『新日鉄アワー 生きものばんざい』：日本の自然と生き物を紹介した人気教養番組

『新日鉄アワー 生きものばんざい』は、1973年10月から1982年9月まで、日本のテレビで放送された人気教養番組です。新日本製鐵（現在の日本製鉄）の単独提供によって実現したこの番組は、自然豊かな日本の風景の中で暮らす様々な生き物たちの生態を、分かりやすい解説とともに紹介していました。

番組は、日本各地で撮影された動物や昆虫たちの貴重な生態映像を豊富に用いており、子供から大人まで幅広い視聴者層に親しまれていました。単なる生き物の紹介にとどまらず、人間と自然との関わりについても深く掘り下げ、視聴者に自然環境への理解を促す役割も果たしていました。

番組の構成としては、基本的に日本の野生動物や昆虫の生態を、著名な芸能人がナレーションを担当して紹介するというスタイルでした。中には、太古の哺乳類の化石を探しに秋吉台を訪れた回や、ナレーターのなべおさみ氏が自身の息子（後のなべやかん氏）と昆虫採集を楽しむ様子を放送した回など、バラエティに富んだ内容も放送されました。こうした親しみやすい演出が、番組の人気を支える大きな要因となっていました。

放送局については、関東地区では1973年10月から1975年3月まではNETテレビ（現在のテレビ朝日）、1975年4月からはTBSで放送されました。その他の地域でも、1975年3月までは主にNET系列局で放送されていましたが、毎日放送のネットチェンジ（いわゆる腸捻転解消）を機に、TBS系列局での放送に切り替わったところが多くありました。また、番組は放送番組センターの配給番組として扱われた時期もあったため、2000年代初頭頃までは独立局などで再放送されているケースも見られました。

放送時間は、関東地区では、日曜日の11:00～11:30（1973年10月～1974年10月6日）、日曜日の9:30～10:00（1974年10月13日～1975年3月30日、NETテレビ放送時）、そして日曜日の10:30～11:00（1975年4月6日～1982年9月26日、TBS放送時）と、変遷がありました。

ナレーターは、番組の歴史の中で石坂浩二氏、坂本九氏、なべおさみ氏と、そうそうたるメンバーが務めました。彼らの落ち着いた語り口調が、番組全体の雰囲気をより一層引き立てていたと言えるでしょう。

番組の主題歌は「みんなともだち」で、作詞は丘灯至夫氏、作曲は牧野由多可氏、編曲は松山祐士氏、歌は眞理ヨシコさんと東京荒川少年少女合唱隊が担当し、アニメーションは月岡貞夫氏が手掛けていました。この曲は、後年発売された『昭和キッズTVシングルスVol.8』にも収録され、改めてその人気ぶりが証明されています。

放送局の選定においては、スポンサーである新日本製鐵の事業所所在地も考慮されていました。例えば、大分県ではテレビ大分ではなく、系列外の大分放送で放送されていたのは、スポンサーの事情が影響したと推測されます。岩手県でも同様の事情があり、テレビ岩手ではなく岩手放送で放送されていました。一方、青森テレビでは、ネットチェンジ後になって初めて放送されるようになりました。

『新日鉄アワー 生きものばんざい』は、単なる動物紹介番組という枠を超え、日本の自然環境や生態系への関心を高め、自然保護の意識を育む上で重要な役割を果たした番組として、日本のテレビ史にその名を刻んでいます。その後の『俵太の生き物バンザイ』にも繋がる、日本の自然番組史における重要な作品と言えるでしょう。

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