生活創庫 (スーパーマーケット)

生活創庫（せいかつそうこ）

ユニー株式会社が手掛ける住居関連用品の直営売場におけるインショップブランド、そしてかつて同社が展開していた、百貨店のような雰囲気を持つ次世代型の複合総合専門店の名称です。

注意点として、リサイクルショップチェーン「生活創庫」を運営していた「創庫生活館」とは、名称が同じですが資本関係や事業上の関連はありません。

独立店舗としての展開とその終焉

独立した店舗ブランドとしての「生活創庫」は、香港で展開している「UNY生活創庫」を除き、かつて存在した店舗は全て営業を終えるか、別の店名に変更されています。

1994年2月以前、福井店と静岡店はユニーの中京地区本部が管轄していましたが、以降は各地区本部の管理下に移りました。しかし、商品調達に関しては本社と中京地区本部が引き続き関与していました。このため、関東地区本部が統括していたユニー大口店やUNYイースト21店は、食料品を取り扱うなど、他の「生活創庫」とは異なるコンセプトを持ち、従来のユニーの業態に近い側面も持っていました。

かつて存在した主な「生活創庫」店舗

生活創庫静岡店

1984年11月21日、静岡県静岡市葵区に「ライブアピタ静岡」として開業。静岡伝馬町プラザビルの商業フロア（地下1階～地上6階）を賃借して営業しました。「アピタ業態」の2号店にあたり、翌年開業する「生活創庫アピタ名古屋駅店」の先行試験店舗としての役割も担いました。当初は「ユニー静岡伝馬町店」という名称での出店計画でした。

開業時は食料品売場がありましたが、1987年春に廃止。1989年には「生活創庫アピタ静岡店」として名称を改め、さらに1991年10月24日には「生活創庫静岡店」となりました。「生活創庫アピタ名古屋駅店」と同様のコンセプトでしたが、採算性の問題から2000年8月19日に閉店。その後、ビルは後継テナントが見つからず一時的に空きビルとなりましたが、地権者組合による「5J」（ファッションビル）としての運営を経て、2007年10月には東急モールズデベロップメントが「SHIZUOKA 109」として開業。2017年11月には「静岡東急スクエア」に転換しましたが、2023年7月17日に閉館しました。現在はビル直営の「けやきプラザ」が営業しています。

生活創庫名古屋駅店

1985年11月21日、名古屋市中村区（名古屋駅西口）に「生活創庫アピタ名古屋駅店」としてオープン。これが「生活創庫」の名称を初めて使用した店舗です。日本生命が新築した再開発ビルの主要テナントとして、ユニーが全社を挙げて推進した「駅西プロジェクト」の中核を担いました。当初は地下に食料品売場がありましたが、不振のためわずか1年半で撤退しています。

1991年4月14日に増床リニューアルを行い、「生活創庫名古屋駅店」と改称して再開。これ以降、商業フロアの大半が若者向けのアパレルや雑貨、軽食店で構成されるなど、ファッションビルに近い性格を強めました。これにより、これまで駅東口が中心だった名古屋駅前において、西口エリアの発展に大きく貢献しました。

最盛期には高い売上を記録しましたが、次第に減少し、業績悪化のため2003年8月17日に閉店しました。店舗跡には現在、ビックカメラ名古屋駅西店が入居しています。

生活創庫福井店

1990年2月、福井駅近くに位置していた「ポアンカ福井」を改装し、「生活創庫福井店」として開業しました。ポアンカが中高生向け衣料品が中心で客単価が低かったため、OL層を含む幅広いジュニアヤング層へ顧客対象を広げることを目指しました。

店舗面積は約5,607平方メートル。1993年2月期には売上高約24億円を記録しましたが、その後売上は伸び悩み、1999年にはだるまや西武新館に開業したロフトとの競合などにより、2001年2月期には売上高が約13億円まで落ち込みました。業績回復が困難と判断され、2002年1月20日に閉店しました。

閉鎖後、建物は2006年に三谷商事が取得。1階はイベントギャラリー「えきまえkoocan」や駐輪場として利用されましたが、他の階は閉鎖されました。2012年12月28日に建物全体が閉鎖され、翌年初夏に解体。跡地には、多目的ホールや屋根付き広場を備えた再開発ビル「福井市にぎわい交流施設ハピリン」が建設され、2016年春に竣工しています。

「雑貨創庫」としての展開

雑貨創庫ユニー大口店

1991年3月27日、神奈川県横浜市神奈川区に「雑貨創庫ユニー大口店」としてオープンしました。この大口地区は、ユニーが関東へ進出する際の拠点があった場所であり、同社にとって関東営業上の重要な地域でした。

当初は東急ハンズを参考にしながら食料品も扱う店舗でしたが、1993年9月以降、ヨーロピアンカジュアルの旅行グッズや高級食器といった特色ある雑貨の取り扱いを減らし、雑貨売場の比率を下げました。これに伴い店名から「雑貨創庫」を外し、「ユニー大口店」として営業するようになりました。その後、「ピアゴ大口店」への改称を経て、「MEGAドン・キホーテUNY大口店」へ業態転換。さらに、愛知県にある同名の店舗との混同を避けるため、「MEGAドン・キホーテUNY横浜大口店」に再度店名変更しています。

生活創庫UNYイースト21店

1992年9月3日、東京都江東区東陽に鹿島建設グループと共同開発した複合商業施設「東京イースト21」の核店舗として開業しました。鹿島東京開発が運営する「イースト21モール」や「ホテルイースト21東京」と共にオープンし、ユニーとしては東京23区内への初出店となりました。売場は開業当初から建物の1階から4階を占めていました。

店舗面積は約13,911平方メートル。2000年2月期には約135億円の売上を記録し、ユニー全店の中で第2位の売上高を誇りました。しかし、近隣に競合店が進出したことによる競争激化に対応するため、2004年4月10日に改装。「アピタイースト21店」に改称し、品揃えの拡充や直営売場の一部専門店化を図りました。しかし、2007年8月19日に閉店しました。

店舗跡の建物はそのまま使用され、1階には後継としてクイーンズ伊勢丹がオープンしましたが、これも短期間で閉店。2009年11月21日にはサミットストアが後継テナントとして開店しました。この際、階を結ぶエスカレーターは撤去されています。2階以上は企業のオフィス区画（ビジネスセンター）となっています。

セレクトショップとしての名残

かつての「生活創庫」業態の一部は、アピタ長久手店やアピタ四日市店といった一部店舗内のセレクトショップとして引き継がれていました。これらは「メゾンドマシェリ」「ブロックス‐ファクトリー」「アンシャンテ」といった名称で残存していましたが、2021年に該当フロアにUDリテール運営の「ドン・キホーテ」が導入されたことにより消滅しました。

新業態開発との関連

「生活創庫」を含むユニーの新業態開発は、従来の顧客主導型から、未開拓のニーズを掘り起こすマーケティング主導型への転換の中で生まれました。これらの新業態店舗では、店内に「ユニー」の名をほぼ排除し、ユニーが運営していると気づかない買い物客もいたほどです。生活創庫は、以下の3つの先行試行店舗での試行錯誤を経て、その後の「ライブアピタ」（静岡）、「ビアアピタ」（江南、岡谷）と共に、名古屋駅前の「生活創庫」として結実した業態と言えます。

ポアンカ福井：旧ユニー福井店を改装し、1983年11月12日にヤングファッション中心のファッションビルとして開業。「スペラダ（仮称）」として計画され、「Y・L・C・S（ヤング・ライフ・クリエイティブ・ストア）」を目指したユニー初の「新業態」店舗でした。食料品は扱わず、ファッションビルに近い性格を持ち、ミニFM局開設や会員制度などで若年層の顧客開拓に力を入れました。
ギャラリエアピタ豊田：ユニー豊田店を増床リニューアルし、1983年12月16日に開業。ユニーのGMS型新業態の1号店で、各フロアが専門店業態を中心とした「ショップの集合体」という点が特徴でした。
* ハートスタッフ豊橋：ユニー豊橋店をリニューアルし、1984年4月21日に開業。スポーツ施設を併設した複合専門店ビルでした。「スポーティマインドの提案活動」をストアコンセプトとし、地下1階から2階の物販エリアはギャラリエアピタと同様に専門店業態主体でした。

ブランドの復活

一度は姿を消した「生活創庫」ブランドですが、近年になって再びその名が見られるようになりました。

2010年6月には、香港で「UNY生活創庫」として約3年ぶりにブランドが復活しています。

日本国内では、2023年10月13日に長野県飯田市の「アピタ飯田店」の住居関連売場に直営インショップブランドとして「生活創庫」の名称が導入されました。これは約20年ぶりの国内でのブランド復活となります。

さらに、2024年11月22日には、アピタ長津田店を改装し「ウォーク」業態へ転換した「カエデウォーク長津田」の日用雑貨売場に「雑貨創庫」が復活しました。これは、ユニーの関東拠点である横浜市に約31年ぶりに「雑貨創庫」ブランドが戻ってきたことになります。

「生活創庫」は、ユニーの新業態開発の試みの中で生まれ、形を変えながらも一部でその名称が引き継がれ、そして再び使用されるようになった、同社の歴史において重要な位置を占めるブランドと言えるでしょう。

もう一度検索