用人

用人の役割と歴史

江戸時代における用人（ようにん）は、武家の職制の一つとして、主君の意向を家中に伝え、庶務を隅々まで管理する重要な役割を担っていました。一般的に、有能な人材が選ばれることが多く、そのため信頼性の高い者がこのポジションに就くことが期待されました。用人は「御用人（ごようにん）」という名前でも知られており、役割の内容によっては複数の用人が存在することもありました。

用人の分類

用人は、さまざまな種類に分けられます。一般的には、側用人（御側御用取次）、公用人、広敷用人、物頭用人、番頭用人、留守居用人、表用人などの多様な種類があります。ここでは、特に狭義の用人の役割に焦点を当てて説明します。

主な役割

主として用人は、主君の意向を伝える役目を果たします。側用人が存在する領域では、側用人は主君の家政や私事に関する用向きを伝達し、相手との交渉や庶務の調整を行うことが求められます。逆に、主用人は主君の公的な業務に関する用向きを伝え、藩内や家中での業務を管理する責任があります。この点においては、主君の公的な用向きを伝える「公用人」とは異なる機能を持つことが重要です。

江戸幕府における用人

江戸幕府では、「用人」と名の付く役職はいくつか存在しましたが、単独で「用人」という名称が使われることは少なかったです。例えば、広敷用人や御台所様用人、御簾中様用人、姫様方用人などの職種があります。特に姫様方用人は、将軍家の娘や養女が結婚後も幕臣としてその職に留まり続けることが多かったのです。

旗本や諸藩の用人

旗本においては、高家や交代寄合以外のほとんどの家において、用人はその万能な権限を持つ重臣としての役割を果たしていました。用人は、500石級の旗本家では一般的に1名が任命され、重責を担っていました。

当初、用人を持たない藩も多く存在していましたが、時代が進むにつれ、用人の役割は重要視され、各藩でこの職制を持つようになりました。また、各藩の財政状況によっては、物頭や番頭、さらには江戸留守居が用人を兼任することもあったのです。

用人の地位

用人の地位は、藩によって異なりますが、大藩ではその地位は相対的に低くなる傾向があり、小藩では逆にその地位が高くなることがあります。また、用人は馬上を許された上級の家臣として、しばしば重要な職務を担うことが求められました。さらに、ならし床などの教育機関においても、用人が校長や助教授としての役割を果たすこともあり、歴史的には多様な局面でその存在価値がありました。

このように、用人は江戸時代の武家社会において重要な役割を果たし、家中を円滑に運営するための重要な職種でした。

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