田中剛二

田中剛二の生涯と業績

田中剛二（たなか ごうじ、1899年 - 1979年4月11日）は、日本の著名な牧師であり、神戸改革派神学校の教師として長年にわたり教育に従事しました。彼は新改訳聖書のヨハネの福音書の翻訳を行ったことで知られています。また、現代の改革派における講解説教のスタイルを確立した説教者としての評価も受けています。

経歴

田中は広島県に、日本基督教会伝道者の田中日出海の次男として誕生しました。幼い頃に父を亡くし、その後、上京して早稲田中学に進学します。その後、早稲田大学の予科に進むものの、アナーキズムに影響され中退。しかし、革命を求めて大阪で労働者として働いた後、満州へ渡り革命下のロシアに入国しようとしますが、失敗に終わります。

1922年に神戸神学校に入学し、正統主義的な改革派神学に目覚め、S・フルトン校長のもとで神学を学びました。1926年に同校を卒業し、高知県で須崎教会の牧師としての任務を開始します。この後、1931年にはプリンストン神学校で神学修士号を取得し、さらにウェストミンスター神学校へと転校しました。そこでジョン・グレッサム・メイチェンの指導を受け、再度の学びを深めました。

帰国後、田中は高知日本基督教会で牧師として奉仕する傍ら、ミッションスクールや高等中学校で聖書を教えていきます。1940年には神港教会で集中的な活動の場を得て、1979年に79歳で逝去するまで、その役目を全うしました。また、1941年に中央神学校の講師として教育活動にも携わります。

1946年には日本キリスト改革派教会の創立には参加できなかったものの、以降の指導者として重要な役割を果たします。翌年には日本基督教団から分離して、信仰に基づく悔い改めの思いを表明しました。1949年には神戸改革派神学校の教授に就任し、教会史や新約釈義を教えることになります。

1959年に創刊された同人誌「リフォームド」には編集者として関与し、1962年からは新改訳聖書のヨハネの福音書の翻訳にも取り組み、1970年にその出版に至ります。彼は1979年にこの世を去り、その後神港教会の後任として安田吉三郎が就任しました。

人物像

田中は説教者として、植村正久や高倉徳太郎、山室軍平を深く尊敬していました。彼の説教は多くの人々に影響を与え、改革派教会における信仰の深化を促しました。

著作

田中の著作には、1938年に発表された『ペテロ前後書注解』、全4巻からなる『田中剛二著作全集』、そして1991年や1992年に出版された『第一テサロニケ書』や『第二テサロニケ書』などがあります。また、翻訳においても『カルヴィン主義予定論』（L.ボエトナー著）や『新約聖書原語』などに取り組んでおり、彼の学びを広める努力が伺えます。

田中剛二の生涯を通じて彼が成し遂げた業績の数々は、今なお日本の宗教界にも深い影響を与え続けています。その教えや信仰への姿勢は、後世の牧師や信徒たちに引き継がれています。

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