田中和夫 (堺市長)

田中和夫：堺市の発展に尽力した名市長

田中和夫（1927年1月2日 - 1989年8月21日）は、日本の政治家、自治官僚であり、大阪府堺市長を務めました。彼は、助役時代に我堂武夫市長の政令指定都市移行を実務面で支え、市長就任後もその政策を継承し、堺市の発展に大きく貢献しました。

生涯

田中和夫は、現在の山口県柳井市で生まれました。1949年に東京大学法学部を卒業後、自治省に入省し、地方公務員災害補償基金事務局長や自治大学校副校長などを歴任しました。その後、堺市の助役として、我堂武夫市長による行財政の見直し、行政改革、財政再建、都市再開発を支えました。

1984年2月、我堂市長の退任に伴う選挙に出馬し、第16代堺市長に初当選。1988年2月には再選を果たし、2期目に入りましたが、1989年8月21日、入院先の大阪府立成人病センター（現大阪国際がんセンター）で心不全のため急逝しました。享年62歳でした。

人物と業績

田中和夫は、堺市の政令指定都市昇格に尽力しましたが、同時に地方自治体の規模や在り方について独自の考えを持っていました。彼は、「行財政能力のみではなく“わがまち”意識の強さも加えて判断されるべき」「人口規模は、効率を重視する産業界で一定の基準とはなり得ても、自治体としての“適正規模”の基準として絶対のものではあり得ない」と述べています。この言葉は、彼の地方自治に対する深い洞察を示しています。

彼は、堺市の政令指定都市昇格の原動力となった泉北ニュータウン（計画人口約18万人）の槇塚台に在住していました。読書家としても知られ、ノンフィクション小説など4,000冊を所蔵していました。彼の蔵書は、生前の望みにより2007年に堺市立図書館に寄贈され、2008年4月には堺市立中央図書館に「田中文庫」コーナーとして開設されました。このコーナーには、主に文芸書2,700冊が並び、昭和50年代後半から死去した平成元年までの国内外の現代小説が中心となっています。

田中の功績は、堺市の発展に大きく寄与しただけでなく、地方自治のあり方について深く考えさせられるものでもあります。彼の業績は、堺市の歴史に深く刻まれており、後世に語り継がれるべきものです。

参考資料

『新訂 現代政治家人名事典 : 中央・地方の政治家4000人』日外アソシエーツ、2005年。

関連項目

堺市
政令指定都市
非核平和都市宣言
泉北ニュータウン
槇塚台

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