田中庸政

田中庸政（たなか つねまさ）は、江戸時代初期に生きた大名です。

生涯

天正16年（1588年）、田中吉政の五男として近江国に誕生しました。兄には、田中吉次、田中吉信、田中吉興がいました。しかし、長兄の吉次は父・吉政に疎まれ追放、次兄の吉信は早世、三男の吉興は病弱であったため、四男の忠政が後継者となりました。

慶長14年（1609年）に父・吉政が没すると、忠政が柳河藩主を継ぎました。庸政は忠政を支え、藩政に貢献しました。しかし、元和6年（1620年）に忠政が病死したことで、柳河藩田中家は後継者がいなくなり、無嗣断絶という形で幕を閉じました。

その後、庸政は近江国野洲郡、三河国田原、上野国新田などで合計2万石を与えられ、大名としての田中家の名跡を継承しました。田中家の再興を託された庸政でしたが、その2年後の元和8年（1622年）に34歳という若さで亡くなりました。

兄である忠政の後を追うかのような短い生涯でした。

人物

田中庸政は、兄・忠政を支え、田中家の家名再興を託されるなど、周囲からの信頼も厚かった人物であったと考えられます。しかし、若くして亡くなったため、大名としての具体的な業績はあまり知られていません。

田中家について

田中家は、もともと近江国の出身で、田中吉政の代に豊臣秀吉に仕え、関ヶ原の戦いでは徳川家康に味方し、その功績によって筑後国柳河藩を与えられました。しかし、忠政の死後、後継者がいなかったため、柳河藩は没収され、田中家は大名としての地位を失いました。

庸政は、その後、徳川家から新たに領地を与えられ、大名として田中家の名跡を継承しましたが、短命に終わったため、田中家は再び衰退していきました。

田中庸政は、田中家の盛衰を象徴する人物の一人と言えるでしょう。

脚注

出典：矢野一貞 『筑後将士軍談』

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