田中吉次

田中吉次は、安土桃山時代から江戸時代初期にかけての武将です。父は筑後柳河藩初代藩主となった田中吉政。その生涯は、激動の時代を反映したものでした。

豊臣秀吉への仕官と小牧・長久手の戦い

田中吉次は、父・吉政の嫡男として生まれました。父と同様に豊臣秀吉に仕え、馬廻として天正12年（1584年）の小牧・長久手の戦いに従軍。若き頃より武功を重ねました。その後、父・吉政が秀吉の甥である豊臣秀次の老臣筆頭に任ぜられると、吉次も秀次に仕え、その名に「吉」の字を拝領しました。

奥州仕置における役割

奥州仕置においては、本願寺の坊官・下間頼廉らとともに奥州一揆の中核をなす浄土真宗寺院と連絡を取り、奥州の争乱が畿内に波及しないよう尽力しました。この時期、吉次は奥州における豊臣政権の安定に重要な役割を果たしていたことが伺えます。

関ヶ原の戦いと廃嫡

慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦いでは、父・吉政と共に徳川方に参陣。徳川方の勝利に貢献し、父は筑後国柳河藩主となりました。しかし、その後、父・吉政と不和になり、柳川から逐電。これにより廃嫡されるという不遇をかこちました。関ヶ原での功績も、父との不和によって報われることはありませんでした。

失意の中での死と家督

元和3年（1617年）、父に許されることなく京都で病死。家督は弟で四男の田中忠政が継ぎました。吉次の死は、田中家にとって大きな痛手であったと考えられます。

子孫の存続

吉次自身は不遇な生涯を送りましたが、その血筋は絶えることなく、孫の田中政信は江戸幕府に召し出され、210俵の旗本として存続しました。吉次の血筋は、形を変えながらも江戸時代を通じて幕府に仕え続けたのです。

田中吉次は、時代の波に翻弄されながらも、武将として、そして豊臣家臣としての役割を果たしました。父との不和による廃嫡という悲劇に見舞われましたが、その子孫は旗本として幕府に仕え、歴史に名を残しました。

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