田中義成

田中義成は、安政7年3月15日（1860年4月5日）に生まれ、大正8年（1919年）11月5日に亡くなった国史学者です。江戸築地に、田安家家臣の子として生を受けました。

明治初年には猪野中行に師事し、8年間漢学を修めました。1876年には太政官修史局の写字生となり、修史事業に携わるようになりました。その後、1886年に掌記、続いて編纂員となり、1892年には東京帝国大学の助教授に就任します。しかし、翌年には一旦辞職。1895年に再度助教授として大学に戻り、1903年には文学博士号を授与されました。1905年には史料編纂掛主任兼帝大教授となり、『大日本史料』の編纂にも深く関わりました。

田中義成は、中世政治史の研究において重要な貢献をしました。特に、その講義は門下生によってまとめられ、没後に書籍として出版されました。これらの書籍は、現代においても中世史を研究する上で重要な資料となっています。

1919年11月5日、田中義成は東京帝国大学の食堂で、辻善之助、渡辺世祐と座談中に脳溢血の発作を起こし、急逝しました。その突然の死は、当時の学会に大きな衝撃を与えました。

田中義成の業績は、その著作からも窺い知ることができます。著書には、『日本武士』（1918年）、『国史の片影』（1920年）、『南北朝時代史』（1922年）、『足利時代史』（1923年）、『織田時代史』（1924年）、『豊臣時代史』（1925年）などがあります。これらの著書は、講談社学術文庫にも収録され、現在でも容易に入手することが可能です。

田中義成は、その学識と教育者としての情熱によって、多くの研究者を育成し、日本の歴史学の発展に大きく貢献しました。その功績は、没後100年以上経った現在でも色褪せることなく、多くの研究者によって引き継がれています。

栄典

1904年（明治37年）12月27日 - 勲五等瑞宝章
1910年（明治43年）12月26日 - 勲四等瑞宝章

著書

『日本武士』 弘学館書店, 1918
『国史の片影』 東盛堂, 1920
『南北朝時代史』 明治書院, 1922。講談社学術文庫, 1979
『足利時代史』 明治書院, 1923。講談社学術文庫, 1979
『織田時代史』 明治書院, 1924。講談社学術文庫, 1980
『豊臣時代史』 明治書院, 1925。講談社学術文庫, 1980

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