田内城

田内城の概要

田内城（たうちじょう）は、鳥取県倉吉市巌城に所在する日本の歴史的な城跡で、別名は巌城（がんじょう）です。この城は、仏石山の標高58メートルの地点に位置し、南北朝時代の伯耆国の守護所として役割を果たしていました。

歴史的背景

この城は、因幡国と伯耆国の守護を務めていた山名時氏によって、興国年間（1340年～1345年）に築かれました。築城当初から、山名氏は城の中心となる役割を担い、その嫡男である山名師義が初代城主となりました。しかし、後に山名師義は延文年間（1356年～1361年）に打吹城を新たに築いて守護所を移転させたため、田内城は次第に廃城に至ったと伝えられています。

残存する遺構からは、戦国期に行われた改修が伺え、完全に廃城となったわけではなく、打吹城の出城として存続していたことが推測されています。かつては強大な城下町『見日千軒（みるかせんげ）』が広がっていたものの、1544年（天文13年）に天神川と小鴨川の大洪水により、そのほとんどが流失してしまいました。その後、山名氏および南条氏は、城下町を打吹山麓へと移転させる活動を行いました。

構造と特徴

田内城の主郭は、標高58メートルの仏石山の頂上付近に残存しています。ここには本丸と見られる広い削平地、堀切があり、近くの南西側の斜面には迷路のような形状の空堀や土塁が確認できます。これらの構造は戦国時代の改修を示すもので、現在でもその再生の跡を垣間見ることができます。

現在、田内城の主郭部分には2層2階の模擬天守が設けられ、訪れる人々に倉吉市街地を一望する展望台として利用されています。また、山頂へと続く遊歩道も整備されており、観光客や地元の人々にとっても親しまれています。

さらに、田内城の山麓には、江戸時代に刻まれた『南無阿弥陀佛』の文字がある岩阿弥陀が存在します。これは1544年の大洪水により亡くなった人々を供養するために、当地の住民によって彫り出されたものであり、現地を訪れる際にはその思想にも触れることができます。

まとめ

田内城はその歴史とともに数多くの物語をはらんでおり、現在でも見どころが多く残されています。歴史愛好家や観光客にとって、訪れる価値のある場所といえるでしょう。

もう一度検索