田坂勝彦

田坂勝彦について

田坂勝彦（たさか かつひこ、1914年5月28日 - 1979年9月20日）は、日本の著名な映画監督であり、特に娯楽時代劇の分野で多くの作品を残しました。広島県豊田郡沼田東村（三原市沼田東町）出身で、彼の兄もまた映画監督である田坂具隆として知られています。

経歴

田坂は、尾道中学校（現在の広島県立尾道北高等学校）を卒業した後、百貨店での勤務を経て、映画界に進出しました。1937年に兄の具隆が日活多摩川撮影所で大ヒットを飛ばした『明治一代女』に触発されて、日活京都撮影所監督部に参加。1942年には大映に移籍しました。

1952年には、長谷川一夫主演の「勘太郎月夜唄」で監督デビューを果たします。この作品は、彼のキャリアにおける重要なスタートとなり、その後数多くの文芸作品ではなく、娯楽時代劇を多数制作することになりました。

1964年の映画「夕日と拳銃」を契機に、テレビドラマの演出も手がけるようになります。翌年、1965年に大映を退社し、その後は中小企業の経営に関わりつつ、1976年まで「銭形平次」「大岡越前」「水戸黄門」「伝七捕物帖（中村梅之助版）」などのテレビ時代劇の監督ローテーションに参加していました。

監督作品

田坂の代表作には、以下のような多数の映画があります。

• - 1952: 勘太郎月夜唄
• - 1952: 神州天馬峡（吉川英治原作）
• - 1953: 浅間の鴉（長谷川伸原作）
• - 1953: 関の弥太ッぺ（長谷川伸原作）
• - 1954: 花の喧嘩状
• - 1954: 花の三度笠（子母澤寛原作）
• - 1956: 浅草の灯（濱本浩原作）
• - 1957: 鼠小僧忍び込み控
• - 1958: 銭形平次捕物控 八人の花嫁
• - 1960: 風雲将棋谷（角田喜久雄原作）

彼の作品は、観客を引き込む娯楽性と、巧みな演出技法が特徴です。特に時代劇においては、緻密なストーリーテリングや迫力のあるアクションが評価されました。田坂は、映画監督だけでなく、テレビドラマの分野でも非常に成功したキャリアを持ち、当時のエンターテイメント界に多大な影響を与えたことが伺えます。

参考文献

• - 黒井和男『日本映画・テレビ監督全集』キネマ旬報社、1988年
• - 『映像メディア作家人名事典』日外アソシエーツ、1991年
• - 『日本映画人名事典・監督篇』キネマ旬報社、1997年

田坂勝彦の多岐にわたる作品は、時代背景や文化を映し出し、映画とテレビの両方で日本のエンターテイメントを豊かにしたことを示しています。彼の業績は今なお、多くの人々に影響を与え続けています。

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