田子勝彌

田子勝彌（たご かつや）

田子勝彌は、1877年（明治10年）5月26日に福島県三阪村で生まれ、1943年（昭和18年）12月23日に亡くなった日本の動物学者です。東京帝国大学在学中からサンショウウオの研究に情熱を注ぎ、生涯にわたりその研究に尽力しました。彼の研究は、日本の動物学、特に両生類の研究において重要な貢献を果たしました。

生涯

東京帝国大学では、動物学を専攻し、卒業後も研究活動を続けました。特にサンショウウオの分類と生態に関する研究は、当時としては画期的なものでした。また、内務省に在籍していた時期には、史蹟名勝天然記念物調査の考査員として、日本の貴重な自然環境の保護にも貢献しました。この経験から、動物学の研究者としてだけでなく、日本の自然を守る立場からも活動しました。

研究業績

田子勝彌は、サンショウウオの研究において、複数の新種を記載しました。
トウキョウサンショウウオ (Hynobius tokyoensis Tago, 1931)
オオイタサンショウウオ (Hynobius dunni Tago, 1931)

これらのサンショウウオの記載は、日本の両生類研究における重要な業績として評価されています。また、以下の生物種は、田子の名にちなんで献名されました。
タゴビル (Oligobdella tagoi (Oka, 1925))
タゴガエル (Rana tagoi Okada, 1928)
サメハダホウズキイカ科の1種 (Teuthowenia tagoi Sasaki, 1929)
タゴジンドウイカ (Loligo tagoi Sasaki, 1929)　※現在ではウイジンドウイカの異名とされる。

これらの献名からも、田子勝彌が当時の動物学界に与えた影響の大きさが伺えます。

著書

田子は、研究成果をまとめた著書も多数刊行しています。
『日本魚介図譜』（1929年、伊藤熊太郎と共著）
『蠑螈と山椒魚』（1931年）
『小動物學』（1932年）
『小動物學 第2版』（1933年）

これらの著書は、当時の動物学研究の貴重な資料であり、現在でも研究者にとって重要な参考資料となっています。

関連人物

田子勝彌は、多くの動物学者と交流があり、その研究活動を支えあいました。特に以下の人物とは、親交が深かったことが知られています。
高島春雄
小林桂助
丘浅次郎
佐々木望
黒田長禮
渡瀬庄三郎
岸田久吉
内田清之助

これらの人物との交流は、田子の研究活動に大きな影響を与えたと考えられています。

まとめ

田子勝彌は、サンショウウオの研究を中心とした動物学者としての活動に加え、天然記念物の調査にも携わるなど、日本の自然保護にも貢献しました。彼の研究業績は、現代の動物学研究においても重要な礎となっており、その功績は長く語り継がれるでしょう。

もう一度検索