田島神社

田島神社

田島神社は、佐賀県唐津市呼子町の加部島に鎮座する神社です。この地は、古代には魏志倭人伝に登場する末盧国にあたり、大陸への重要な渡海ルートの要所でした。そのため、古くから中央政府の重視を受けてきました。古代には「田島坐神社」と記録され、肥前国で唯一の名神大社として、また肥前国一之宮と見なされた時代もありました。

祭神

田島神社の祭神は、以下の五柱です。

主祭神
田心姫尊
市杵島姫尊
湍津姫尊

これら三柱は宗像大社の祭神である宗像三女神と同一の姫神です。北部九州の土着の神とされ、「田島三神」と総称されています。特に田心姫尊を主神としています。
配祀神
大山祇神
稚武王尊

稚武王尊は日本武尊の子であり、仲哀天皇の弟にあたります。

歴史

創建

田島神社の創建は不明ですが、弥生時代後期とする説もあります。鎮座地の加部島は、かつて「姫島」「姫神島」と呼ばれ、姫神が鎮まる場所とされていました。

天平3年（731年）に稚武王が相殿に祀られ、天平10年（738年）には聖武天皇より大伴古麻呂が派遣され「田島大明神」の神号が伝えられたとされています。この天平3年を創建とする古書も存在します。

稚武王配祀と上松浦明神

稚武王の配祀は、神功皇后が三韓征伐から帰還した際、「懇ろに奉斎せよ」と当社に駐留・警護を命じたという逸話に由来します。同時期に、平戸に駐留を命じられた十城別王を祀る志々伎神社も「松浦明神」と崇められました。

その後、遣唐使が廃止された後の延喜式神明帳（927年）には、田島神社は「上松浦明神」、志々伎神社は「下松浦明神」と記載されました。このことから、田島神社は国防上の重要な拠点であったと考えられます。

概史

『新抄格勅符抄』によると、大同元年（806年）には、田島神社に16戸の神戸が充てられていました。これは、神社が周辺地域からの税収によって運営されていたことを示しています。

延長5年（927年）に成立した『延喜式』神名帳には、肥前国唯一の名神大社として「田島坐神社」の名が記されました。江戸時代には唐津藩の祈願所となり、明治維新後には国幣中社に列しました。現在は神社本庁の別表神社となっています。

神階

田島神社は、六国史に神階が記されており、以下のように昇進しています。

天安3年（859年）：従五位下から従四位下
貞観2年（860年）：従四位下から従四位上
貞観15年（873年）：従四位上から正四位下
元慶8年（884年）：正四位下から正四位上

この昇階は、遣隋使・遣唐使の時代と関連しており、朝廷との密接な関係を示唆しています。

遣隋使・遣唐使

田島神社は、遣隋使・遣唐使の航路における重要な地点でした。具体的な記録は少ないものの、神階の高さや社伝から、朝廷に近い存在として、宗像大社と協力し、北部九州の沿岸地域における土着の神社を代表する役割を担っていたと考えられます。

摂末社

佐與姫神社（佐用姫神社）：松浦佐用姫を祀る神社。佐用姫が変じたとされる望夫石を御神体としています。
御崎神社：級長津彦神、級長津姫神、猿田彦神を祀る神社。文禄の役で活躍した軍船「小鷹丸」の一部を祀っています。

これらの摂末社は、地元特有の由緒を持つ神社であり、田島神社の歴史と文化を物語っています。

祭事

田島神社では、年間を通して様々な祭事が行われます。

歳旦祭：1月1日
節分祭：2月3日
春祈祷：4月1日～3日
厄祓祈願祭：4月第2日曜日
夏越祭・大祓：7月最後の土曜日
例祭：9月16日
新嘗祭：11月23日
除夜祭・大祓：12月31日

特に夏越祭は、氏子が主催し、お神輿で御旅所へ移動する独特の形式で行われます。

文化財

田島神社には、以下の文化財があります。

重要文化財（国指定）
太刀 銘 備中国住人吉次
佐賀県指定文化財
加部島暖地性植物群落
その他
鼻高面
太閤秀吉朱印佐与姫社神主宛社領百石寄進状
太閤祈念石
元寇船碇石
肥前鳥居
大階段下鳥居
小浜港鳥居（第一鳥居）
大神鏡

これらの文化財は、田島神社の歴史と文化を深く物語っています。


田島神社は、古代からの歴史と豊かな自然に恵まれた神社であり、訪れる人々に深い感動を与えてくれます。

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