田村宗立

田村 宗立（たむら そうりゅう）の生涯と業績

田村 宗立（1846年 - 1918年）は、明治時代において洋画の普及に貢献した画僧であり、画道の先駆者として知られています。彼は別号を月樵、十方明とし、生まれ故郷の京都で多くの功績を残しました。今回は、宗立の生い立ち、洋画習得の過程、そしてその後の美術界における影響について詳しく探ります。

生い立ち

田村宗立は、京の丹波国船井郡河内村（現在の京都府南丹市）の家庭に生まれました。父は公卿中山家に仕えた田村宗貫で、母は佐野忠左衛門の娘である尚子です。宗立は幼少期から絵に親しみ、3歳で初めて絵筆を手にし、9歳の時には百人一首を模写して周囲を驚かせました。その後、10歳で東山雙林寺の大雅堂清亮に学び、南画を習い始めます。1年後、興味を持った彩色に転向し、六角堂能満院の憲海のもとで仏画を学びました。特に、宗立が16歳の時に彫った「毘沙門天曼荼羅」の版木が現存していることから、彼の初期の才能が伺えます。

洋画学習の道

宗立は13歳で仏画から世に描かれる実物に魅了され、陰影法を独学で学び始めました。写真の影響を受け、文久2年から3年（1862-63年）にかけて模写を試み、オリジナルなスタイルを確立し始めます。彼の作品は、京都国立近代美術館に所蔵されている『写生画帖』などに見ることができます。
愛好した油画に気づき、明治3年（1870年）には京都で英語を学びながら洋画の技術を磨きます。粟田口病院では、通訳兼画家として医師たちから油絵を学び、さらに横浜で高橋由一などとの交流を持ちます。こうした経験を通じて、彼は本格的な洋画の研究に取り組むこととなります。

京都洋画壇の先駆け

明治5年から毎年開かれる京都博覧会に出品し名を馳せます。特に第11回展での「田村宗立油絵展」は注目を集め、明治10年には内国勧業博覧会においても金字を受けるなど、上昇する洋画家として活躍しました。また、京都府画学校設立に関与し、西洋画科の教員としても多くの有能な生徒を育てました。その中には、後に著名な画家となる吉田博も含まれています。

洋画排斥と日本画への回帰

しかし、明治20年代になると洋画排斥運動が盛んになり、宗立も幸野楳嶺の教頭就任に伴い、教壇を退くことになります。彼は明治22年に私塾「明治画学館」を設立しますが、次第に厳しい状況が続きます。それでも、宗立の技術と影響は衰えず、彼が八戸で幻燈画を担当したり、内国勧業博覧会でも作品を出展し続けます。

晩年とその影響

晩年、宗立は竹田黙雷と親愛の情を深め、想念のままに水墨画や日本画に取り組みます。また、彼の作品は近代のアイデンティティ形成に寄与し、即ち写真術の刺激をもとにした独自のスタイルを持つ写生画として評価されます。京都の画壇で兄弟子である浅井忠からも高く評価され、彼の葬儀を行う際、関西美術院の研究者たちは宗立の貢献を惜しみつつも、彼に対しぺーぺーの無礼をわきまえんとし、教えとして広がったことを証明しています。

宗立の後ろに養子がいて、彼の資料は京都市立芸術大学や京都国立近代美術館に寄贈されており、彼の功績は今なお多くの人々に称えられています。

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