田村秢

田村稔：弁護士、政治家としての生涯

田村稔（たむらみのる、1894年10月3日-1991年11月19日）は、日本の弁護士、政治家として知られています。三重県松阪市出身の彼は、1917年に東京帝国大学に入学、1921年に法学部独法科を卒業しました。卒業後は松阪市で弁護士を開業、その後、三重県会議員、同議会議長を歴任しました。

彼の政治家としての経歴は、1942年の第21回衆議院議員総選挙にさかのぼります。この選挙で、翼賛政治体制協議会の推薦を受け、三重2区から当選を果たしました。これはいわゆる「翼賛候補」として選ばれたことを意味します。

衆議院議員在職中は、翼賛政治会、大日本政治会、日本進歩党と、時代の流れに沿った所属政党を変えながら活動しました。議員在職中には、大政翼賛会三重県協力会議長、同中央協力会議員などの要職も務めています。

戦後、公職追放処分を受けましたが、1951年に追放が解除されると弁護士業に復帰。その後、三重弁護士会長の職にも就き、弁護士としてのキャリアを着実に築き上げていきました。

田村稔の政治姿勢は、彼の発言からも垣間見ることができます。戦時中、彼は「政府を引きずって行く程の議会をつくるのが戦争遂行裡の日本の切実な要求である。」と述べていました。これは、当時の日本の政治状況と、議会改革に対する彼の強い意志を示す発言と言えるでしょう。

また、彼の家族についても注目に値します。息子である田村元は衆議院議長を務め、息子である田村憲司はZTV代表取締役社長として活躍しました。孫にあたる田村憲久は自由民主党の衆議院議員です。さらに、TBSテレビアナウンサーの田村真子は彼の曾孫にあたります。このように、彼の血縁者には政治家や実業界で活躍する人物が多く存在しており、日本の歴史、社会に多大な影響を与えてきました。

彼の生涯は、激動の時代を生きた一人の弁護士、政治家の物語です。戦時中、翼賛政治体制下での政治参加、戦後の公職追放、そして弁護士としての再出発。彼の経験は、日本の近代史を理解する上で重要な視点を提供してくれるでしょう。

参考文献

東京帝国大学編『東京帝国大学一覧 從大正9年 至大正10年』東京帝国大学、1913-1924年
衆議院事務局編『衆議院要覧 昭和17年11月 乙』内閣印刷局、1942年
『翼賛選挙大観』朝日新聞社、1942年
『翼賛議員銘鑑』議会新聞社、1943年
人事興信所編『人事興信録 第14版 下』人事興信所、1943年
総理庁官房監査課編『公職追放に関する覚書該当者名簿』日比谷政経会、1949年
衆議院、議院編『議会制度七十年史 第11』大蔵省印刷局、1962年
衆議院・参議院『議会制度百年史 - 衆議院議員名鑑』大蔵省印刷局、1990年
衆議院・参議院『議会制度百年史 - 院内会派編衆議院の部』大蔵省印刷局、1990年
『現代物故者事典 1991～1993』日外アソシエーツ、1994年

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