田続

田続の生涯

田続（でん ぞく）は、中国の三国時代における魏の軍人であり、幽州右北平郡無終県出身の人物です。彼は、従祖父にあたる田疇の家系を継ぐ運命を背負って生きました。田疇には実子が早死にしたため、曹丕（文帝）の命令により田続が後を継ぐことになったと言われています。このことは、彼の軍人としての道を開く一因となりました。

田続の軍人としての名声は、263年の蜀漢討伐において特に際立ちました。この戦役では、彼は鍾会とともに護軍を担当し、蜀漢の姜維が剣閣で抵抗する中、鄧艾の軍と共に敵に立ち向かいました。姜維の指揮する軍が諸葛瞻の敗死の報を受けて撤退すると、田続や龐会はその撤退を追いかけました。

さらに、習鑿歯の著作『漢晋春秋』によると、田続は鄧艾の部隊に加わり、間道を迂回しながら江油城攻めに参加し、そこでの活躍が評価されました。しかし、鄧艾が兵士たちを無理に進軍させようとした際に、田続は「休息が必要です」と助言を試みました。この行動が逆目に出て、鄧艾の怒りを招き、田続は斬首されかけた危険な状況に置かれました。運良く周囲の取り成しにより命拾いしましたが、この事件が後に鄧艾に対する恨みを生むこととなったのです。

蜀漢滅亡後、田続は鍾会の反乱に巻き込まれます。彼はかつて鍾会の命令に従い鄧艾を捕縛していたため、鄧艾から復讐を恐れられる立場にありました。そんな中、衛瓘から暗殺命令を受けた田続は、同じく鄧艾に恨みを持つ者として命を受け、綿竹西部で鄧艾を殺すという大胆な行動に出ました。

しかし、この歴史の記録については異なる見解もあり、陳寿の記述では田続は江油城攻めの場面では鍾会の手下であったとされています。このため、田続の真の立場や申し渡された命令の信憑性については不明な点が多く残されています。

田続という人物は、親戚の家系を守るために軍人としての道を歩み、戦闘の渦中で自身の運命を決定づける数々の選択を迫られた複雑な人生を送ったのです。彼の物語は、戦国時代の騒乱や忠誠、裏切りといったテーマが交錯する中で描かれる重要な要素となっています。

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