田辺修 (アニメーター)

田辺 修（たなべ おさむ）について

田辺修は、1965年生まれで、岡山県出身の日本のアニメーターです。彼は、アニメーションの世界で非常に重要な役割を果たしてきた人物であり、特にスタジオジブリにおいて独自の作風を展開しました。

経歴

1987年に岡山大学教育学部を卒業した田辺は、オープロダクションに入社。その後フリーランスとして活動し、やがてスタジオジブリに所属しました。ジブリでは、第4スタジオ（4スタ）の所長を務め、数多くの作品に携わりました。彼の代表作には、「ルパン三世 バイバイ・リバティー・危機一発!」（1989年）や「新・キューティーハニー」（1994年）などがあります。スタジオジブリでは、「おもひでぽろぽろ」や「平成狸合戦ぽんぽこ」の原画を担当し、特に「ホーホケキョとなりの山田くん」では絵コンテ、場面設定、演出も手掛けました。また、「かぐや姫の物語」では、人物造形や作画設計を行なった他、演出も担当しました。2015年には、東京アニメアワードでアニメーター賞を受賞しています。

人物・作風

田辺修は、宮崎駿を見出した高畑勲が最後に発掘した才能の一人です。高畑は「彼以外のアニメーターを映画の中心に据えようとは思わない」と公言するほど、田辺に対する信頼が厚いです。彼の作風は「実感のこもった芝居」に特徴があり、デフォルメされたキャラクターさえも人間らしく表現する能力に長けています。この点を高畑は高く評価しており、田辺が描く動きのリアリティは他の追随を許さないとされています。

田辺は具体的な人々をモデルにし、実際の感情や動きを観察し、それを基にアニメーションを制作します。彼自身も「抽象的なキャラクターを想像してアニメーションにすることはできない」と語っており、周囲の人々を参考にしながら作品を作り上げています。ただし、彼の線の選び方には独自のセンスがあり、他のアニメーターが迷う原因となることもあります。CG作画は使用せず、手書きにこだわっています。

また、彼は絵を描くことに関して非常に慎重で、描くまでに時間をかける場合があります。そのため、他のアニメーターが作業を進められなくなることもあるようです。田辺の絵が完成するまでに時間を要することがある一方で、集中した時には長時間描き続けることができる体力も持っています。彼の頑固さは業界内でも知られており、アドバイスを受けても自分のスタイルを貫く姿勢を崩しません。

『かぐや姫の物語』について

「かぐや姫の物語」は、スタジオジブリの高畑勲が田辺修のスタイルを最大限に活かすことを目的にしたプロジェクトです。高畑は、前作の「ホーホケキョとなりの山田くん」と同様に、田辺の独特なタッチによるスケッチ風の淡彩表現を作品に取り入れたいと考えていました。

初めての企画は「平家物語」でしたが、田辺が「人が人を殺すシーンは描きたくない」と意見を述べたため、鈴木敏夫プロデューサーによって「竹取物語」が選ばれることになりました。田辺が求める内容に合致していたため、彼らはこの作品に挑むことが決まりました。

参加作品

田辺は、多数のテレビアニメや劇場アニメ、音楽ビデオなどに携わってきました。代表的な作品には、1988年の「火垂るの墓」、1999年の「ホーホケキョとなりの山田くん」、2013年の「かぐや姫の物語」があります。彼は、その独自の世界観と表現力で多くの視聴者から評価されています。

田辺修は、日本のアニメーション界において、その実力と個性を持つアニメーターとして、今後もさらなる活躍が期待される存在です。

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