由良山

由良山

概要

香川県高松市由良町に位置する由良山は、高松市街地に近い場所でありながら、緑豊かな自然を残しており、「香川のみどり百選」にも選定されています。高松平野の南部に、周囲の地形から独立してそびえる小山であり、特に北側は、長年にわたる採石活動によって山頂付近まで大きく削り取られています。この採石の結果、内部の強固な岩盤が露出し、由良山ならではの独特で印象的な景観を生み出しています。

山の名の由来については、興味深い説が伝わっています。古来、大きな地震が発生した際、周囲が激しく揺れる中でもこの山だけは微動だにしなかったことから、「揺らぬ山（ゆらぬやま）」と呼ばれたといい、それが時代を経て転訛（てんか）し、現在の「由良山」という名になったとされています。

由良山は、古くから人々が暮らす集落に囲まれた里山として、長い歴史の中で人々と深く関わってきました。室町時代には、戦略的な要所として山頂に由良山城が築かれました。江戸時代に入ると、この山から採れる良質な石材が「由良石」として採掘され始め、様々な用途に利用されました。また、太平洋戦争中には、比較的規模の大きな防空壕が掘削されるなど、時代の証人としての痕跡も残されています。このように、由良山は単なる自然の地形としてだけでなく、人々の暮らしや歴史、産業と密接に結びついて発展してきた山と言えます。

地質学的には、由良山は柱状節理（ちゅうじょうせつり）がよく発達した岩山です。約5000万年前から約260万年前とされる第三紀に、地下から上昇したマグマが岩脈として貫入し、ゆっくりと冷え固まった黒雲母安山岩（くろうんもあんざんがん）で構成されています。この堅牢な地質が、石材としての価値を高めています。

特に、由良石はその優れた品質から全国的に知られ、遠く日本の象徴的な場所である皇居東庭の敷石としても使用されていることは、由良山の石材がいかに高い評価を受けていたかを物語っています。

施設・見どころ

由良山の山中には、かつての人々の活動や信仰の跡を示す様々な場所が点在しています。主に山の南側と北側に分けられます。

南側

清水神社: 山の神を祀るなど、地域の人々の信仰を集めてきた神社です。
由良角力土俵跡: かつて相撲が行われていた場所の跡とされており、地域の文化的行事との関わりがうかがえます。
採石場跡: 長い歴史を持つ採石活動の痕跡が残されています。
由良山防空壕跡: 第二次世界大戦中に掘られた防空壕の跡で、戦時中の歴史を伝える場所です。

北側

採石場跡: こちら側にも採石の跡が見られ、由良山の採石範囲の広さが分かります。
三角点: 国土地理院が設置した測量の基準点です。由良山の正確な位置と標高を示す重要な地点です。

三角点情報

由良山頂付近に設置されている三角点についての詳細は以下の通りです。
基準点コード: TR35134304601
等級種別: 三等三角点
冠字選点番号: 岡4
基準点名: 由良山
部号: 129
座標: 北緯34度17分6.2461秒 東経134度4分49.4257秒
標高: 120.29m
所在地: 香川県高松市由良町字由良山1108番地
* 地目: 境内地

由良山は、緑豊かな自然景観、採石による独特の地形、そして城塞、石材採掘、戦時の痕跡など、人々の営みと深く結びついた多様な歴史を持つ、高松市における特徴的な里山です。

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